2020年04月05日
増水で高活性

先週日曜の雪から寒かったり風が吹いたりと不安定だった天気も落ち着いた金曜日、今日はいけそうな気がするとヤマメの渓へ。ここは先月11日、12日に訪れて早春としてはまずまずの釣りを楽しんだ。前回はなんとか釣りにはなった、というくらいの渇水だったが、今回は雪の影響もあって水が増えていることを期待した。なにしろ上野村の神流川などはまだ濁りがおさまらないほどで、どの川もけっこうな増水だったはずだ。
林道に入るといたるところに大きな水たまりができていた。しぶきをあげて泥だらけにならないようにそろそろと進む。
8時半すぎ、川に下りるとちょっと思っていた以上に水が多かった。だが水は澄んでいてにごりはまったくなかった。気温は7~8℃ほどだろうか薄手のフリースの上にごく薄手のナイロンジャンパーを羽織っただけで寒くはなかった。水温は6℃弱、もう少しほしいところだが時間の経過ととともに上がってくれるだろう。
水の多い流れでヤマメがどこについているかまるでわからなかった。定石通りの瀬尻、開き、流心脇などを一つ一つ探っていく。盛期であればヤマメの好きそうな流勢だが、水温は6℃に届いていないとなると流心にはいないだろうと思えた。避難場所になりそうな石裏にもとりあえずフライを浮かべてみた。前回、ヤマメが動き始めたのは昼をすぎたころからだった。それからひと月弱、もう少し早くから動いてくれるのを期待して手探りのキャストを続けた。
10時半、やっと最初の反応があった。乗りはしなかったがひざ下ほどの水深のある開きから茶色いヤマメが飛び出した。フライをねらった素早いドルフィンジャンプはいかにもヤマメらしい。そのすぐあともう一度アタックがあった。2度ともふわっと浮いてくるような出方ではなく、底から弾丸のように飛び出してくる感じだった。フッキングこそしなかったがこういう反応には心がときめく。
10時45分、いくつかの流れが収斂していくややゆるいY字でしぶきが上がった。今度は無事フッキング、反応が出始めてからファーストヒットまで意外と早い展開だった。
かわいいヤマメだが最初のヤマメだ、慎重にネットにおさめてレンズを向けた。くっきりとしたパーマークとその下のスポットも全く乱れもなく規則的に並んだほれぼれする美しさだ。
1匹目が釣れてほっとしたところで河原に腰を下ろしてコーヒータイムにした。クッキーをかじりながら水面を眺めていると虫が飛び始めたのがわかった。ユスリカのような小さな虫ではなくてカワゲラか小型のメイフライかそれなりのサイズの虫が水面を流れたり水面近くを飛んでいる。今にもライズが始まりそうだったがそううまくはいかない。それでも本格的に虫が動き始めたとなればヤマメの活性ももっとあがるはずだと期待がふくらんだ。
そしてここからは思惑通りに急速にヤマメたちの反応が増してきた。とはいえ、なかなかフッキングはしてくれない。率でいえば半分以下ぐらいの感じだった。サイズもぜいたくをいってはいけないがもう少しアップしてほしかった。
粒ぞろいの15㎝ほどのヤマメたち。いいところから出てきてくれるのだが、ここでこのサイズ?といいたくなる。ねらったポイントにねらったドリフトができてねらい通りにヤマメがフライをくわえてくれる。楽しいことは間違いないのだがサイズがね、と釣り人の欲はきりがない。
ここ、最高のポイント、という大場所に出た。こりゃあ一回り大きいのがぜったいいるはず、と瀬尻から順番にねらっていく。すぐにヤマメが飛び出すがかからない。次に少し上の開き、また出たが乗らない。今度は左の大きな巻き返し、水面が盛り上がってロッドが曲がったがすっぽ抜け、だんだん余裕がなくなってくる。落ち込みの強い流れが岩盤にぶつかるところの直下でドルフィンライズ、今度こそかかった。よーし、ア“-バレタ!!
さらに2度ばかりアタックがあったもののけっきょくこの大場所ではノーキャッチ、手に汗を握って悲鳴を上げるほどに楽しませてもらった。反応のあったうちの何匹かは少なくとも20㎝は越えていそうだった。特に寄せる途中でばらしたヤマメはいいサイズだった。なんでかからない、今シーズンは出るけど乗らない、乗るけどバラス、が多すぎる。
しばしの茫然自失状態から我に返り、キャストを再開した。
さきほどのような大場所ではないが岩盤脇の直線的な流れ、渇水では釣りにならないが水の多い今ならチャンスはある。ここも一度目のバイトは乗らなかったが、2度目のアタックがしっかりフッキング。
18㎝ほど、これまでの中ではまずまずのヤマメだった。ぷっくり太って頭と尾びれが大きい、夏までにはいい引きをしてくれるようなサイズになりそうだった。
13時をすぎたころからいよいよヤマメの活性が上がってきた。このころになるとすっぽ抜けやバラシも減ってフッキングミスもなくなった。サイズも昼までに比べると一回り大きくなっている。やっぱり時間帯なんだとつくづく思う。虫が出てくるのに合わせてヤマメの活性が徐々に上がって来て一気にピークを迎えるのだ。漫才などで息の合ったパフォーマンスを見ているようで釣り人のやる気と魚のやる気がぴたっとそろった時にまさに息のあったパフォーマンスが繰り広げられる。釣り人にとっての至福の時間が始まる。もっとも釣り人はいつでもやる気満々で魚たちのやる気が充足するのをただただ待ち続けるだけなのだが。
前回の釣行ではまったく相手にしてもらえなかったえん堤、今回はここが最後のポイントになった。
数回のフッキングミスもあったがこのえん堤で6匹のヤマメを釣った。サイズは最大で20㎝ほどだった。ほんとうに欲をいえばだが、できれば8寸クラスにお眼にかかりたかったが、そうそうこちらの思い通りにならないのも釣りの魅力のひとつだろう。
世の中はコロナ禍の底に重く沈んでやるせない毎日が続いている。外出自粛の掛け声にだれもが縮こまらずをえないような状況だ。ネットをみていると公園で子供を遊ばせることや散歩までもを非難するような書き込みすらある。こんなときに外に出ようなどと考えること自体が不謹慎だ、という論調にはむしろ恐ろしさを感じる。
山奥の川でフライフィッシングをやるということはもっとも安全な選択だと思うのだがそれすら、みんな我慢しているのに、といわれそうで少しばかり躊躇するような気持ちにもなる。まあ、何をするにしてもいったん立ち止まって冷静に考えてみることは必要なのだろう。渓流のフライフィッシングが趣味でよかった、と気兼ねなくいえるように早くもどってほしいと思う。

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Posted by wind knot at 12:56│Comments(6)
│フライフィッシング
この記事へのコメント
いずれもキレイなヤマメばかりですね。こういうヤマメがドライに出てくれるなんてうらやましい。この上、サイズが···なんて言ってはいけませんよ(笑)。
野暮用に追われてばかりのこの春。私の渓流解禁はもうしばらく先になりそうです(泣)。
野暮用に追われてばかりのこの春。私の渓流解禁はもうしばらく先になりそうです(泣)。
Posted by カチーフ at 2020年04月05日 13:34
カチーフさん、こんにちは。
ハイ、おっしゃる通り、ぜいたくいっちゃいけませんねー
4月は一番いい季節ですね。野暮用片付けてはやく渓流にいきましょう!
ハイ、おっしゃる通り、ぜいたくいっちゃいけませんねー
4月は一番いい季節ですね。野暮用片付けてはやく渓流にいきましょう!
Posted by wind knot
at 2020年04月05日 14:28

この時期、スイッチが入った渓魚たちの反応は最高です。
サイズはともかく、丸々と太ったヤマメ達ですね!
釣りに行くこと自体、毎回自問自答しなければならない日が
来るとは夢にも思いませんでした。辛い日々ですが、冷静に
向き合うしかありませんね。
サイズはともかく、丸々と太ったヤマメ達ですね!
釣りに行くこと自体、毎回自問自答しなければならない日が
来るとは夢にも思いませんでした。辛い日々ですが、冷静に
向き合うしかありませんね。
Posted by jbopper
at 2020年04月07日 11:09

jbopperさん、こんばんは。
サイズの割に引きがいいんでもうちょっと大きいのかと期待したらそれほどでもないってところでしたね。釣り場では体長に目がいってましたが写真でみると体高があっていいヤマメでした。
普通に考えれば山奥の川に釣りに行くことはまったく問題ないことだと思うのですが、不要不急の外出であることもまた間違いないので困るんですよね。
サイズの割に引きがいいんでもうちょっと大きいのかと期待したらそれほどでもないってところでしたね。釣り場では体長に目がいってましたが写真でみると体高があっていいヤマメでした。
普通に考えれば山奥の川に釣りに行くことはまったく問題ないことだと思うのですが、不要不急の外出であることもまた間違いないので困るんですよね。
Posted by wind knot
at 2020年04月07日 20:26

こんにちは。渓流に行けていないのでとても癒されます。
全国に移動の制限自粛となりいよいよ厳しくなりました。
が。。。できれば近場でもと目論んでいます。
全国に移動の制限自粛となりいよいよ厳しくなりました。
が。。。できれば近場でもと目論んでいます。
Posted by ジョニー at 2020年04月18日 10:11
ジョニーさん、こんばんは。
新しい記事をあっぷしたところでコメントに気付きました。
今週の釣行は家を出てから川までの往復どこにもよらず人との接触は一切ない釣行でした。
移動の自粛は人との接触を断つことが目的なので山奥への単独釣行まで制限されるものではないとは思うのですが、どうなんでしょう。
新しい記事をあっぷしたところでコメントに気付きました。
今週の釣行は家を出てから川までの往復どこにもよらず人との接触は一切ない釣行でした。
移動の自粛は人との接触を断つことが目的なので山奥への単独釣行まで制限されるものではないとは思うのですが、どうなんでしょう。
Posted by wind knot
at 2020年04月18日 23:03
