2025年04月25日
小雨の本谷毛ばり釣り専用区
4月23日(水)、上野村本谷への釣行。数日の間、夏日が続いていたがこの日は小雨まじりで気温は前日から5℃も下がるというあいにくの天気だった。
川の駅に向かう前にいつものようにヴィラ裏で様子見をした。釣り人は下流の野栗沢合流に数人、民家下プールの上流に2名ほどでここのプールは空いていた。
眺めていると流心より奥でぽつぽつとライズもしている。いつも釣り人が貼りついているポイントだがだれもいない。ちょうど今ライズが始まったとも思えないから、一通り攻められたあとなのだろう。
まずはこれからかと#26のブユを結んでスタート。風もないのでキャストはしやすいがドリフトはごまかしがきかない。何度かキャストを繰り返しティペットをうまい具合にコントロールできたところでヒット!
だが、お決まりのすっぽ抜け、いやティペット結束部から切れていた。9Xだからな、魚は大きくはなかったが合わせが大きかったか。
同じ場所ですぐに2匹目が出たがまたもやブレイク、どうなってんだ!?ティペットは今シーズンおろしたばかりの新品なのに。
いかんなあとティペットを8Xに替えてみる。8Xだと#26のアイに通らないのでフライも#24にサイズアップ。これで大丈夫だろうと流したフライだが、なんと3回連続のラインブレイク。こんなのありか!
落ち着け、食わせることはできているんだ。タイミングが合っていないだけだ、と自分に言い聞かせる。
#24のブユフライは1本しかなかったので♯24のユスリカアダルトを8Xティペットに結んだ。
やっとキャッチできた1匹、こんな写真なのは1枚撮っただけで逃げられたから。どうもなにかやっていることがおかしい。こんなんで本谷いって大丈夫だろうか?と不安がよぎる。
もう終わっているかと思っていた枝垂桜はすこし葉も伸び始めていたがまだきれいだった。今年は見られないかと思っていたこの花に間に合ったのは収穫だった。
ヴィラ裏でつい熱くなってしまって川の駅に向かうのが遅れた。受付をすませて本谷の管理棟に着くと先行していた釣り人たちがそれぞれの区間に出ていくところだった。
車は私のを含めて5台、今日は盛況だなとちょっと焦るが、ここは予約制だ。今日はあわてるとろくなことになりそうもない、ゆっくり行くことにする。
昼ごろにはやむ予報の霧のような雨が降っていた。どうしようかとちょっと迷ったが、カッパは着ていくことにした。
予約していた3番エリアに向かう途中、川をのぞきながら歩いていると4番の大きなプールにでかいのが4~5匹浮いているのが見えた。長い瀬のちょうど中ほど、流れが開きはじめるあたりだった。なるほど、今日は瀬尻や瀬脇のゆるいところじゃなくて、やや強めの流れにいるということか。
3番のスタート、2段えん堤の下、すぐ目の前の駆け上がりに着いていることが多いのでスタートから慎重に探っていく。と、すぐにヒット。
ここでは小ぶりなネイティブイワナが出迎えてくれた。ティペットは6Xに替えてあるから合わせ切れの心配はないが、まずは一安心。
続けて左側のシャローを手前からサーチ、左のごく浅いところからイワナが姿を現してフライを迎えたが惜しくも空振り。1匹目よりは大きかった。食い損ねた感じで、空ぶったのはイワナのほうだった?さわってはいないのでまだ出るかも。そもそも何匹かついていることも多いポイントだ。
今度はフライがフッと消えた。さっきのとは出方もちがうからやはり別の魚かもしれない。
さらに一番おくの泡だまりからもうひとつ
だんだんサイズアップ、こいつはイワナとは思えないような幅広の体躯。
左岸側では落ち込みからの流れの筋と、奥のチョロチョロと落ちてくる流れの下でまあまあのが出たが、いずれもすっぽ抜け。ここで上のえん堤下に移動する。
ここは真ん中より右側からの反応がよかった。沈み石まわりのヨレにフライが乗るとアタックしてくる。
川幅の真ん中あたりに立ちこんでの釣りなので魚を置く場所がない。手持ちでの撮影になった。
川底が浅くなったところで釣れたヤマメ、ちょうど横たえて写真を撮るスペースがあった。大きくはないがきれいな魚だった。
ここから先はまた膝上ぐらいまでのウェーディングだが、石がすべって危なっかしい。こけて濡れたら寒そうなので深追いはせずにえん堤上に抜けることにした。まだまだ釣れそうだが安全第一。
「愛の鐘」ならぬ「爆釣の鐘」を景気よく鳴らしてえん堤上に再入渓。
昨年7月に来たときはちょうど増水していて今回より20~30㎝は水が高かった。ここは増水時がいいはず、というねらいが的中して尺ヤマメが連続した。すると今回は厳しいということ?その代わりに昨年はえん堤下は釣りができるような状態じゃなかったからどっちがいいという話でもない。
こうしてみると平水よりも若干減水気味かもしれない。途中で見たようにこの水勢だと瀬尻よりには魚はいそうにない。
だが岸際のシャローが気になった。前日はここの定休日で人は入っていない。ここでまったりしているやつがいてもいい。案の定、フワフワと漂うフライにバシャッときたが惜しくもすっぽ抜けた。
まだいる、出そうな気がする。少しずつ上流にずらしてフライを打っていく。
やっぱりいた、本谷のハイパーにはほど遠いがネイティブのぷっくりヤマメ、ねらいどおりの出会いは悪くない。
次は対岸の流れが岩にぶつかっていくあたりをねらって2匹キャッチ。
9寸ほどだが、やっと本谷らしいヤマメがきた。
いい面構えだ。
ちょっとストマックを失敬。現場ではよくわからなくてストーンフライかなと思っていたが、こうして見るとちょっと違うように見える。3体ばかりの虫がからみ合っているのか、単体のサイズとしてはフライと似た感じだ。
#14でスタートしていたが、えん堤上に出てから反応が悪いような気がして#16に替えていた。目立った虫の飛翔もなかったからだが、それがちょうどよかったのかもしれない。
フライを小さくしたのに合わせてティペットを1ft継ぎ足して16ftのリーダー+ティペットにした。たった30㎝足しただけでもずいぶん流しやすくなった。
当たりも途絶えてやっぱりここは増水時だな、と切り上げて前に進む。
左岸側の流れが本命だろうとウェーディングして釣り上がってきたがめぼしい反応はない。
さっきから気になっていた右岸の岩の先のポイント。岸を伝って上がってくると岩がじゃまでねらえないが、ここからは難なくフライを入れることができる。なんということもない場所だが、みょうに気になる。
おもむろにフライを投じると一発で茶色い魚体が躍り出た。よっしゃー!やっぱりね、でかい!いや、そうでもないか?
さらに寄せようとすると力強く抵抗する。やっぱりでかいんだ、尺はありそうだ!
最後は観念してネットに収まってくれたのは30㎝+の美しいイワナだ。
たぶん、川の中からねらう人は少なくてイワナも油断していたのだろう。岸からだとねらえる立ち位置まで近寄ったときには気配を察して出てこないのだと思う。してやったりの尺イワナだった。
3番エリアの終点まではまだ半分ほどあるのだが、ちょうど入退渓路だった。時刻はすでに1時半をすぎていて腹もへった。ここでいったん上がろうと中〆のロッドを振る。
良型ヤマメで締めくくり、道路に出て管理棟にもどることにした。始めたころは霧のようだった雨は途中でぽつぽつと小雨になりいつの間にか上がっていた。気温は15℃ぐらいだろうか、少し肌寒い。
管理棟にもどって遅いランチ。けっきょく3番の中間地点あたりまでしか進めなかった。スタートがちょっと遅くなったこともあるが、思ったよりもよく釣れて時間がかかった。
大物は尺イワナ1匹だったがカメラをチェックすると全部で15匹のキャッチだった。
ランチの後、4番の大物ヤマメが泳ぐプールが気になって、いざ勝負をしにいくことにした。
だが、流れを目の前にしてみるとなんだか急に気持ちが萎えてきた。やはり、前日からの気温低下のせいもあってか虫がほとんど出ていない。水量はやや少なめで、あの大物ヤマメをごまかせるような状況とは思えなかった。
ハイパーなヤマメたちにはまったくコンタクトできなかったが、レギュラーサイズの魚たちにはなんとか相手になってもらえた。
最後は流れてきたフライが岩に隠れて見えなくなったところで、ピックアップと同時に大きな飛沫。
これもレギュラーサイズだったが、写真でもわかるようにお腹がタプタプしたメタボヤマメがラストフィッシュになった。
本谷ではちょうどダブルツ抜けの20匹、朝のヴィラ裏での3連続ラインブレイクも含めて今回も楽しい釣行だった。

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2025年04月20日
前日の不調をちょっとだけ挽回
前日(4月14日)はボウズだけは免れたものの、いささか小ぶりすぎたイワナとの出会い。今日はもう少しなんとかしたいと気合を入れる。
上野村の宿泊施設「木森れ陽」で度々お会いするHさん(Hさんというお名前は今回はじめて伺った)から今日はいい思いをしたと聞き、私もおこぼれをいただきたいとその支流に入ることにした。

木森れ陽に咲いていた桜は花が少ないが、これはまたこれで儚げに美しかった。
宿をあとにしてお目当ての渓へと向かう。凄腕のHさんが釣った昨日の今日では、そうやすやすと2匹目のドジョウならぬイワナに出会えるほど甘くはないと思うが、活性さえ上がっていればチャンスはあるだろう。
この渓は初めてなのでいったん車を上まで進めて入退渓ポイントをリサーチしてみた。道路から川までかなりの高低差があるが、入れそうなところが数か所あった。
渓相はいかにもイワナ好みの流れでポイントは無数にある。それだけに入渓者も多いだろう。幸いに釣り人らしき車は見かけなかった。
スタートしてすぐに現れた泡だまり、いかにもいそうだがだれもがねらうに違いないポイント。
大きな泡だまりなのでどこにいるのか手前から少しずつポイントをずらして探っていく。
本命は反転流がぐるっと回った岩のすき間と読んだが、そこは通過して岩の角でピチャッときた。小さいな、警戒もしているのだろう残念ながらファーストコンタクトはフッキングできなかった。
しかし入渓早々のコンタクトにほっとした。なにしろ前日は2時間近くも反応のかけらもなかったのだ。
さっきの大きな泡だまりとは対照的な小さな反転流、やや荒れ気味な水面に浮かんだフライに茶色っぽい魚影がアタックしてきたが直前で見切られたようだ。
斑点まで見えた気がしたのだが、ためらいもなくパクリとはいかなかった。
今度は瀬脇のたるみ、そのまま流れるでもなく左の反転流に巻き込まれるでもなくフワフワと浮いていたフライがシュッと吸い込まれた。手元にはグンというたしかな手ごたえがあったが、そのまますっぽ抜け。
ア~、なんであれが抜けるんだヨ~という感じだったが、吸い込みが弱かったのか。
ここまであと一歩という惜しい出会いが続いたが、反応があるのはやっぱり楽しい。
ここも時計回りの反転流に合流していく前のどっちつかずな流れ。ゆるい砂礫の駆け上がりに右を向いて定位していたらしいイワナが、まるで魔法のように姿を現しゆっくりとフライをくわえた。
今度はしっかりくわえてくれた。18㎝ほどだが野性味のあるきれいなイワナ。
「まるで魔法のように姿を現す」なんてそんなことがあるかーい!?とも思うが、川底の砂礫がちょうどCGで魚のかたちに変わっていくような瞬間がたしかにある。その瞬間、釣り人は思わず“ムゥ?オワァ!”とうなり、やがてしびれるような快感につつまれるのだ。
最初のヒットから1時間ちょっとたち、10時ごろからは雨が降ったりやんだり、一時は本降りになってカッパを着たり脱いだりせわしなかった。
雨で活性があがることはなかったようで、一度だけ反応があったがノーヒットの時間が続いた。それでも初めての渓なので次々と現れるポイントにワクワクしながら釣り上がってきた。
ここも落ち込み脇の反転流、ごく浅い流れだが岩盤際に倒木が沈んでいてイワナの隠れ場所としては絶好のポイントだ。
果たして岩盤にそって流れていくフライがフッと消えた。だが、今度は手ごたえを感じる間もなくフライが宙を舞った。
いつものすっぽ抜けだが、しばらくイワナからの反応が途切れていたのでちょっとドキッとさせてもらった。サイズはわからないがこういうところにはけっこういいのがいることがある。
同じ場所の左岸側、メインチャネルの開きで出た。

22㎝ほどで今回のベストフィッシュ、明るい場所にいた割には体色が濃い。いつもは落ち込みの岩陰にいて陽気もよくなってきたので瀬に出てきたのだろう。開きでヒットするとは思っていなかった。
時刻は11時半になろうというところ、同じ場所で2回のアタック、しかもヒットしたのは瀬の開きとなるとこれからがいよいよいい時合いなのかもしれない。雨雲も抜けたようで天気も落ち着いてきた。

どんどん行きたいところだがちょうど腹もへったのでランチタイム。コーヒーを飲みながらあんパンをかじっていると対岸の岩陰に魚影を見つけた。しかも尺近くありそうだ。
岩陰の流れはごくゆるいが反転流が2層になっていてイワナは上流をむいたり下流をむいたりしてエサの流れてくるのを待っているようなそぶりを続けている。
こうしちゃいられないとロッドを取りに立ち上がり、もどってみるとヤツはもう姿を消していた。あちゃ~、まずったな~とがっくりしたが、尺近くなるまで生きてきたイワナというのはやはり並大抵の用心深さではないということだろう。
不用意に立ち上がったのは後悔でしかないが、岩陰にフライをナチュラルに送りこむのはかなり難易度が高そうだし、うまく流せたとしてもたぶんフライを見たとたんに隠れてしまうだろう。ヤツはそういうイワナだ、と思うことにした。
その後はぽつぽつと
瀬尻でヒット。
落ち込みからのY字でヒット
ここは2回でたけれどすっぽ抜け。
陰の奥からお出ましに。
ねらったポイントから一発で。


最後は瀬の開きからまあまあの1匹。
退渓ポイントを過ぎてまだもう少しいけると150mばかり進んでみたが、けっきょく↑のイワナがラストフィッシュだった。
大物には出会えなかったが、1日目の大苦戦にくらべればちょっとだけどころかかなりの挽回にはなった。
思ったよりも退渓場所までの距離があって、後半はだいぶはしょることになった。なによりイワナの渓を2日つづけて歩くのはやっぱり疲れる。遡行の中間点あたりに楽に入退渓できる場所を探したほうがいいなと思った。

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2025年04月17日
まだ早かった?イワナの渓
昨年から通い始めたイワナの渓。昨年はGW明けに初めて行ってじゅうぶん釣りになったのでそろそろいいんじゃないかと出かけてみた。
昨年よりはひと月ちかく早めの4月14日、今年は少しばかり季節がおくれ気味なこともあるがどんなもんだろうか?
この日は前日ふり続いた雨が明け方まで残って途中で覗いてみた川はやや増水して濁りも入っていた。昨年の経験で上流部は雨に強いのはわかっていたが、やはり現場に着くまではちょっと不安だった。

町を抜けて民家もまばらになりはじめたころ、このあたりの桜はいまが見ごろだった。雨上がりの桜は晴れた日の華やかさとはまた違うしっとりとした美しさだった。

釣り場に着いてみると少し増水はしているが水は濁りもまったくなく澄んでいた。まずは一安心だ。時間は9時になったところ、気温12℃、水温は8.2℃で状況としては申し分ない。
“申し分ない“とは思ったものの、だからといって魚たちの活性が必ずよいとは限らないのが渓流釣りの悩ましさでもあり、おもしろさでもある。

だが今回はどうも“悩ましい”日に当たってしまったようでイワナの反応はおろか生命感がまったく感じられなかった。


いつもなら釣れはしなくても反応のあったポイントにWindknotのロゴをスタンプして掲載するのだがそれもできない。

状況は悪くはないがやっぱりまだ早いのか、と思うしかなかった。

スタートして2時間ちかくがたっていた。何度目かの巻き。
いかにも居そうだ、という気持ちの高まりもすでに萎えてキャストもついおざなりになりがちだ。
いかんいかん、たかが2時間、何事もおこらないなんて珍しいことじゃない、いないわけじゃないんだ、いつ出て来てもへまはしないように集中しないと。
左からの落ち込みの流れがが右の石にあたって反転し、ふたたび落ち込みにむかって巻いていく。フライがその流れに乗った。
落ちてくる強い流れに巻きが吸い込まれていくそのはざまから黒い影がフライに向かって走った。いた!よし、合わせも決まった。

やっと出てくれた1匹、渓に生きる小さな宝石。あまりの生命感のなさにボウズも覚悟していた。それでもいるんだ、石の下にかくれていたのが飛び出してきたあの一瞬を目に焼き付けておこう。


それからまた2時間、渓は沈黙を保った。1匹とボウズでは天国と地獄となんどもくりかえした言葉がよみがえった。たった1匹のかわいいイワナだが、この1匹のおかげでまた来ようという気持ちを胸に谷を去ることができる。さあ、今日はもうあがろう、と斜面にとりつく。

車にもどりウエーダーもはいたまま山を越えて上野村に向かうことにした。
上野村に着いたのはもう3時も近かった。ちょっとだけ遊んでみるかと入渓しやすい支流に向かう。
道路から川をのぞいていると漁協スタッフに声をかけられた。いま来たばかりでこれからやろうかなと思ってと答える。
スタッフ氏によると数日前にヤマメとイワナを放流したばかりで、自分はルアーだけどイワナがよくかかってます、とのことだった。
じゃあ、イワナの活性が高いことを期待してちょっとがんばってきますと川に下りる。

ロッドを振り始めてすぐ、釣り人が歩く側に分岐した小さな落ち込みに念のため、とフライを落とすと左の岩陰から魚影がフワッと浮いてきた。

オッシャー、ホントにイワナが出た。胸ビレの小さい放流魚だが、やっと6‘6“のロッドを曲げてくれる魚に出会えた。
こいつはいいかも、とふたたびロッドを振るが、それからは出てくれるのはかわいいヤマメばかりだった。



まあ、今日も何人かの釣り人に攻められた後だろうからな、そうポンポンとはいかない。
これからの夕まづめがいいのかもしれないが、陽がおちるまで釣りをするのは性に合わない(というかフライが見えない)ので退渓することにした。
今回も木森れ陽に泊まって明日はイワナの釣れそうな支流に入るつもりだ。(次回に続く)

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昨年よりはひと月ちかく早めの4月14日、今年は少しばかり季節がおくれ気味なこともあるがどんなもんだろうか?
この日は前日ふり続いた雨が明け方まで残って途中で覗いてみた川はやや増水して濁りも入っていた。昨年の経験で上流部は雨に強いのはわかっていたが、やはり現場に着くまではちょっと不安だった。

町を抜けて民家もまばらになりはじめたころ、このあたりの桜はいまが見ごろだった。雨上がりの桜は晴れた日の華やかさとはまた違うしっとりとした美しさだった。
釣り場に着いてみると少し増水はしているが水は濁りもまったくなく澄んでいた。まずは一安心だ。時間は9時になったところ、気温12℃、水温は8.2℃で状況としては申し分ない。
“申し分ない“とは思ったものの、だからといって魚たちの活性が必ずよいとは限らないのが渓流釣りの悩ましさでもあり、おもしろさでもある。
だが今回はどうも“悩ましい”日に当たってしまったようでイワナの反応はおろか生命感がまったく感じられなかった。
いつもなら釣れはしなくても反応のあったポイントにWindknotのロゴをスタンプして掲載するのだがそれもできない。
状況は悪くはないがやっぱりまだ早いのか、と思うしかなかった。
スタートして2時間ちかくがたっていた。何度目かの巻き。
いかにも居そうだ、という気持ちの高まりもすでに萎えてキャストもついおざなりになりがちだ。
いかんいかん、たかが2時間、何事もおこらないなんて珍しいことじゃない、いないわけじゃないんだ、いつ出て来てもへまはしないように集中しないと。
左からの落ち込みの流れがが右の石にあたって反転し、ふたたび落ち込みにむかって巻いていく。フライがその流れに乗った。
落ちてくる強い流れに巻きが吸い込まれていくそのはざまから黒い影がフライに向かって走った。いた!よし、合わせも決まった。
やっと出てくれた1匹、渓に生きる小さな宝石。あまりの生命感のなさにボウズも覚悟していた。それでもいるんだ、石の下にかくれていたのが飛び出してきたあの一瞬を目に焼き付けておこう。
それからまた2時間、渓は沈黙を保った。1匹とボウズでは天国と地獄となんどもくりかえした言葉がよみがえった。たった1匹のかわいいイワナだが、この1匹のおかげでまた来ようという気持ちを胸に谷を去ることができる。さあ、今日はもうあがろう、と斜面にとりつく。
車にもどりウエーダーもはいたまま山を越えて上野村に向かうことにした。
上野村に着いたのはもう3時も近かった。ちょっとだけ遊んでみるかと入渓しやすい支流に向かう。
道路から川をのぞいていると漁協スタッフに声をかけられた。いま来たばかりでこれからやろうかなと思ってと答える。
スタッフ氏によると数日前にヤマメとイワナを放流したばかりで、自分はルアーだけどイワナがよくかかってます、とのことだった。
じゃあ、イワナの活性が高いことを期待してちょっとがんばってきますと川に下りる。
ロッドを振り始めてすぐ、釣り人が歩く側に分岐した小さな落ち込みに念のため、とフライを落とすと左の岩陰から魚影がフワッと浮いてきた。
オッシャー、ホントにイワナが出た。胸ビレの小さい放流魚だが、やっと6‘6“のロッドを曲げてくれる魚に出会えた。
こいつはいいかも、とふたたびロッドを振るが、それからは出てくれるのはかわいいヤマメばかりだった。
まあ、今日も何人かの釣り人に攻められた後だろうからな、そうポンポンとはいかない。
これからの夕まづめがいいのかもしれないが、陽がおちるまで釣りをするのは性に合わない(というかフライが見えない)ので退渓することにした。
今回も木森れ陽に泊まって明日はイワナの釣れそうな支流に入るつもりだ。(次回に続く)

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Posted by wind knot at
15:47
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2025年04月10日
ライズは低調、ヤマメのストックに偏りが
一昨日(4月8日)今シーズン3日目の上野村、今回もヴィラ裏C&R。
朝、8時前に到着すると釣り人は少ない。
見渡したところ止めてある車は4台、釣り人の姿は3人、なんとなく状況が想像できるような。
釣りはもちろんだが、今回はちょっと期待していた桜はまだまだつぼみだった。
ちらほらとほころび始めたつぼみもあるが満開までにはあと数日はかかりそうだった。
昨年はこの時期に来られなかったのでわからないが↑の写真は一昨年の4月11日の釣行時に撮ったもの、見事な満開の枝垂桜だ。
今年の春は暑かったり寒かったりの繰り返しだが、春といえば三寒四温でその繰り返しは当たり前なのだろうが、全般的には少し遅れているのだろう。
この前の日、孫娘と二人で秋ヶ瀬公園に花見にいったのだが、こちらは今がまさに満開だった。


地元の埼玉南部で今が満開なのだから、上野村の枝垂桜がまだつぼみというのも当たり前か。
上野村でもふつうの桜(ソメイヨシノ?)は満開だった。まあなんにしても今年の季節は少しだけ遅れ気味ということなのだろう。
桜はさておいて肝心のヤマメたち、ざっと見て歩いてみたがライズはまったくなし。
前回は解禁直後の釣行だったが、その時でもちらほらと波紋が見えたのに今回は全く静かなものだ。
いくら季節が遅れ気味といったって、解禁からはひと月もたっているのだから釣れるかどうかは別としてライズはしていてほしい。
思ったよりもだいぶ水の量は多いのでヤマメたちが中層よりも底近くに沈んでいるのもいやな感じだ。ライズどころかまるで上を見ていない。
仕方がない、あの手この手でなんとかやる気を出させるしかないだろうとフライをとっかえひっかえして流してみるがまるで相手にしてもらえない。
ならばと沈めてみても2~3度ちょろっとした当たりがあっただけでフッキングには持ち込めなかった。
民家の下のプールはヤマメの群れが見えていていつも熱くなるポイントだが、フラットに見える流れが複雑でここをナチュラルに流すのが難しい。前回はヤマメたちもまだ初心だったので何匹か釣ることができたが、もういい加減なドリフトでは通用しなかった。
しかも流れの筋と筋のあいだに微妙な反転流が形を刻々と変えながら立ちはだかるのでインジケーターという余計なものが付いているルースニングはドライフライ以上に意図したドリフトをしてくれない。
あきらめて上流の瀬を流してみたが、こちらもまったくの音沙汰なしだ。
そろそろ瀬に入っているのがいてもいいころなんだがと首を振り振りロッドを振る。
この上は上流側のライズポイントだが、例年、解禁からライズがあって張り付いている釣り人が必ずいるこのポイントも今年はうまくないようで、前回の釣行時も空いていた。
今回は先客のフライマンがいたがしばらく見ていてもライズはない。すぐに先客も上流に去っていったのだが、どうも流してみる気もしない。一応はとやってみたがやはり魚っけがない。だが、いないわけはないので底にたまっていて動かないのだろう。
ランチタイムの後、川に戻るとブロック際でやっとライズを見つけた。なかなかのサイズがたぶん2匹、流れにそって上下でライズしている。
何を食っているのかはわからないが、見えている虫にライズしているわけではないので極小のユスリカか、あるいは水面直下のなにかか?それにしてはけっこう派手なライズだ。
水面を見つめながらフライを♯26のブユに結びかえてみた。ティペットも9Xに替える。
ブユとユスリカとどこが違うのか?ブユのほうが多少ソラックスをころっとした感じに巻いているのと、ウィングを気持ち大き目にしている。
ライズポイントの上流にフライを落としてさらに上流側に少し引っ張り、できるだけフライ先行でドリフトさせたい。だがねらうレーンの手前にやや強い流れがあるのですぐにティペットがふくらんでしまう。
何度目かのキャストで下流側のヤマメがフライを飲み込んだ、と思ったが無念のすっぽ抜け。
ちゃんと口にはいっていなかったか、フックが小さいのでかからなかったのか、残念だった。
しばし場を休めていると上流でまたライズが始まった。よーし、流し方は悪くはなかったのだ、フッキングしなかったのは運の問題だ。
ねらったレーンを流れるフライ、ふくらみ始めたティペットを修正するためにメンディングを入れる。フライがかすかに上流側に引っ張られるように動いた瞬間、出た。アッ!抜けた~、いや、何の抵抗も感じなかったがティペットが切れていた。9Xだからな~、大合わせしたわけでもないんだけど、ハ~、完敗だった。
民家下のライズはあきらめて野栗沢合流のプールに移動した。対岸に釣り人がいたので下流側の流れ出しに立って様子を見ていると対岸に近いメインチャネルの向こうでライズした。
距離はちょっとあるが流速の際をねらってピンポイントで攻めればなんとかなるか、流れの効いているポイントだからヤマメの警戒心はさっきの民家下ほどではないはずだ。
フライは♯18の定番メイフライに、ティペットも8Xに結びなおした。
ヨシっと気合のキャストに一発で食ってきた。やったぜ!と思う間もなく下流側に反転したヤマメは下の落ち込みに消えた。
肩から落ち込みにかけて流木やらゴミやらが固まっていてこれに引っかかったらアウトだがヤマメは奇跡的にすんなり下の瀬に落ちていった。
冷や汗ものだったが、なんとかネットに収まってくれたファーストフィッシュ、よかった。
これといって偏ったものは食ってはいない、妙に白っぽいストーンフライのニンフと逆に黒いアダルトが目立つ。
ストーンフライアダルトの右に写っているのはちょっと分かりにくいがブユのアダルトのように見える。やっぱりブユも食われていたのだ。ストーンフライが#16~18ぐらいだとするとブユは♯24~26程度か。
さっきの2回連続バラシはブユフライに対するアタックだった。2度出たのは偶然ではなく、フライ選択も間違ってはいなかったのだ。あのヤマメがブユを食っていたかどうかはわからないが、なんとなく溜飲が下がる思いだった。
そこからはこれまでの苦戦が嘘のようにヒットが続いた。
大物こそ出なかったがやる気のあるヤマメは全部このプールに集まっているんじゃないか、といいたくなるくらいで1時間半ほどでツ抜けも達成。一時はボウズも覚悟していただけに思わぬ釣果にすっかり気持ちがよくなった。
さすがに当たりも一段落したところで瀬をたたきながら車に戻る。
こんなチビが何匹か出てくれた。
最後は民家下プールの下流、ラストチャンスに巡り合えるだろうか?
ひょっとすると稚魚から育ったのかもしれないヒレも比較的きれいなヤマメがラストフィッシュだった。
朝はまだつぼみだった枝垂桜が開き始めていた。
全体としてはまだまだ。見ごろは来週あたりだろうか。

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2025年04月03日
本流上流部はまだまだ
2日目(3月27日)は本流の上流部へ。
年券を購入した受鑑所のおやじさんが支流の天然魚は動き始めているが本流はまだ、といっていたのは承知の上での入渓。
いつものようにえん堤の上から川に下りる、しばらくは開けたチャラ瀬が続く。この日は風も吹かない予報なのでのびのびとロッドが振れそうだ。
水温は10.2℃、前の日の支流は9.8℃だったから150mほど標高の高いここのほうが温いのが不思議だが、開けて陽当りがいい地形によるのだろう。状況は悪くない、“動いていない”という魚たちだがなんとか1匹でも会えればいい。
しかしやっぱり甘くはない。行けども行けども反応の“はの字”もなかった。
途中で沈めてもみたがまったく釣れそうな気がしなかった。どうせ釣れないなら気持ちよくロッドを振りたいと、しばらく進んでまたドライフライにもどす。
2時間たったところで腰をおろして早めのランチにした。朝は宿でたっぷりいただいてきたのでまだ腹はすいていなかったがコーヒーが飲みたかった。
暑くなく寒くなくの陽気で川を歩くだけで気持ちがいいのだが、まったくの無反応というのはやはり寂しい。まあ、こういう日もあるさとリバーサイドカフェをオープンした。
コンビニパンをかじり、コーヒーを飲みながら川を眺めているとなんと目の前でピチャッと飛沫が。
ここまで静寂をたもってきた川でまさかのライズだ。ピチャッという小さくても鋭い飛沫はたぶんオイカワサイズだが、そこに魚がいるというだけでうれしくなった。
あわててロッドを振って驚かせては元も子もない。ここはゆっくりコーヒーを飲みながらライズを眺めることにした。
15分ばかり眺めていただろうか、ライズポイントは3か所。1、2、3の順で10:3:1ぐらいの頻度だ。
1と2のライズフォームはあきらかに異なり、2と3は似ている。2と3は同じ魚かもしれない。少なくとも2匹の魚がいるのは間違いなさそうだった。
勇んでロッドを振る前にカフェを店仕舞する。焦ってゴミなど残さないようにしっかりチェック。幸いその間もライズは続いていた。
前の写真の3からフライを流していく。ここは反応なし。
2の少し上にフライを落とすと、ライズしていた場所から忽然と魚影があらわれてフライに寄っていく。だがちょうど流れのヨレにはまったフライに微妙なドラグがかかったか惜しいところで見切られてしまった。
気を取り直して本命の1をねらう。1回目はちょうどライズしていたポイントにフライが落ちた。もう少し上からか。
2回目はねらいどおりにフライが水面に乗って50㎝ほど流れたところで出た!(前の写真のWindknotスタンプのところ)
あ~長かった、やっと会えた。最後にポロリはなしだぜと小さくてもネットを差しだした。
ポロリの心配はなかった。フライは口の中にがっぷり納まっている。
釣り始めてから3時間弱、ぐうぜん腰をおろしたところで見つけたライズ。1匹目は仕留めそこなったが、本命のライズはほぼ1発でヒット。「サイズじゃないよね~」の見本のようなひと時を楽しませてもらった。
遡行を再開して間もなく、沈み石の前にいたヤマメが姿を見せたがヒットには至らなかった。こんな盛期のような場所についていたとはちょっと驚きだった。
さらに進んでストレートな流れが続くお気に入りのポイント。
思わず苦笑いのおチビさん。そうだよな早く大きくなるにはどんどん食わなきゃな、じゃましてゴメン。
これもゴメンネサイズだが午後になって活性が上がってきたようだ。
ここは一連の瀬の一番うえ、頭上の枝がじゃまでフライを入れにくいがうまく流せればいいサイズも出てくれる場所だ。
やっぱり出てくれた。これでも今回としてはいいサイズ、尾びれのオレンジが美しい。
大場所のプール、いい時には良型が2~3匹出てもいいポイント。
下から徐々に上流へと探りをいれていく。ヨレの形が刻々と変わっていく。よし、食った、いいぞ今日一番だろう、あ~~~抜けた~~~
なんで抜けるんだ~~~~
さぞや間の抜けた声を出していたと思うが、たしかにいいサイズだっただけに悔しさもひとしおだった。
最後のポイントが見えてきたところでもう1匹追加。ここから先は最終ポイントまで一気にはしょる。
岩盤際の大場所、水深もあってだれもがねらうポイントだ。いい時期には魚影も確認できるのだが今回はまだ早いのか姿は見えない。それでも周りは足跡だらけなのですでにかなり攻められてはいるのだろう。餌釣りやルアーにアドバンテージがありそうな流れだ。
ダメもとでフライを流してはみたがやはり反応はなかった。
上流のぶっつけ、ここも盛期にはヤマメが入っているのだが音沙汰なし。もういちど岩盤際を流して終わりにしよう。
沈めてみるかとも思ったがすでに退渓予定時刻はすぎていた。先ほどとは立ち位置を変えてフライを流れに入れる。うまい具合にティペットが逆U字を描いてフライ先行でドリフトする。
これで出なけりゃやっぱりだめか。
流心脇の緩流帯に引っ張られないように入れたラインスラックが伸びきりそうでフライにブレーキがかかり、スピードが落ちてくる。
と、そこにターゲットをロックした魚雷のようにヤマメが猛スピードで浮上してきた。
あっという間もなくフライにたどり着いたヤマメだったがフライを水面に残したまま反転して消えてしまった。
一瞬、フライが口に入ったかと思ったがフライにかかったブレーキのせいで吸い込めなかったか、ヤマメが目測をあやまったのか。
最後の最後にドキドキさせてもらったがこれにて2日間の釣行も無事に終了。
受鑑所のおやじさんのいうとおり、本流の天然物にはまだまだ早かった。それでもヤマメの顔は拝めたし、ドキドキさせてくれるコンタクトもあった。2日間とおしてみれば帳尻のあう釣りだったのだ。

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