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2019年06月14日

黒部ダム下

黒部ダム下




 いつもブログを読んでいるというKさんから黒部にいかないかというお誘いをいただいた。ネットの動画で見た景色がすばらしく行ってみたいが一人で行くのは不安なので一緒に行く相手を探しているとのことだった。ちょうど里見スクールで黒部ダム下の話題を耳にしていたところだったので私にとってもグッドタイミングな話で一も二もなく”OK"と返事をさせてもらった。

 何度かメールでやり取りをして12日に大町に入って周辺の川で少し釣りをして一泊、翌朝始発のバスで黒部ダムに向かうという計画をたてた。12日は私がKさん宅に行って車を置かせてもらいKさんの愛車に同乗して長野にむかうことにさせていただいた。ほとんど単独釣行の私にとっては久しぶりの同行者のある釣行だ。


黒部ダム下


 大町にはちょど昼ごろに到着した。事前の予報では雨模様だった天気は日が近づくにつれて改善していた。着いた時間こそ小雨が降っていたがそれも昼食をとっているうちにほぼ上がっていた。二人とも初めての土地で勝手がわからないのでとりあえず町の中心を流れている川の支流に入ってみることになったが前日まで降っていたらしい雨のせいかあるいは雪代なのか流れは強く釣りにはなりそうになかった。


黒部ダム下



 この川をあきらめて本流の上流はどうだろうかと移動して下りた場所は堰堤の上で川幅も広く開けてなんともフライ向けの流れだった。


黒部ダム下


 さっそく思い思いのポイントでロッドを振る。しばらくして私のフライにバイトがあった。何度も流してみると4回の反応があったがけっきょくヒットには至らなかった。


黒部ダム下



 Kさんは良型を釣ったが写真を撮る前に逃げられたという後にも続けてヒット、これも良型のイワナだった。


黒部ダム下


黒部ダム下


 私のほうはその後も何度か反応は得られたもののフッキングできないまま釣り上がっていった。徐々に川幅がせばまるにつれて流れが太く重くなりポイントがなくなってきた。少しいくと堰堤に出会ったのでまだ時間は早いがホテルに向かうことになった。


 Kさんは私より4歳年長で現在は渓流よりも湖や本流でダブルハンドを振る大物ねらいが中心だがそのほかにもヘラブナから日本海でのタイ釣りと実に幅広く釣りを楽しんでいる方で往路の車中からホテルでの食事まで釣り談議が尽きることはなかった。



黒部ダム下


 翌朝はホテルから20分ほどで扇沢駅に着き、そこから電気バスに乗って15分で黒部ダムに到着。7時半に出る始発は3台のバスが出たが乗客はほとんどが中国からの観光客で日本人はおそらく数えるほどしかいなかった。日本人だって私の周辺に黒部ダムに行ったことがあるなんて人はほとんどいないのに中国の人がこんなに押し寄せるようにやってくるというのがなんとも不思議だった。


黒部ダム下


 黒部ダム駅からダム下に下りるには山道を20分ほどくだるはずだがその降り口が事前に調べてもわからなかったので駅の人に聞くと登山者出口を教えてくれた。バスの到着ホームの一般出口の先になるほど登山者出口が口を開けていたがこれは聞かなければわからない。


黒部ダム下

 
 登山者出口から外に出るとすぐに巨大な雪渓が迎えてくれた。


黒部ダム下


 周囲の山々はまだまだ雪に覆われているのだ。さすがに北アルプスなんだなと、しばしその威容に魅入られた。


黒部ダム下


 川ははるか200m下を流れていて水音もまったく聞こえない。細く急な山道を20分ほどくだって河原に立った。行きはよいよいだがこの山道を帰りは登らなければならないかと思うとくらくらするようだった。


黒部ダム下


 黒部ダムに来たのだが、川に下りて初めてダムを見ることができた。ふつうの観光ならダムを見下ろすように眺めるのだろうが下から見上げることができるのは一部の登山者と釣り人に限られるのだろう。今は観光放水もないので見上げるダムはひたすら巨大なコンクリートの壁だ。


黒部ダム下


 
 入渓点からさらに日電歩道という登山道をたどって下流にむかい20分ほどで降り口に着いた。



黒部ダム下


 さあ、釣りましょうとふたりで意気込むが、案に反していっこうに反応が得られない。ここまで来てこんなはずじゃと二人で首をひねりあうがここにいなけりゃどこにいるというポイントも沈黙を守るばかりだった。


黒部ダム下



 Kさんはライズを見たというポイントで粘るがフライには出てこない。秘境黒部の源流に行くとなるといろいろな意味で半端な釣行ではなくなるがその入り口のダム下ならば比較的手軽に楽しめるとあって人気の場所だ。”ここまで来たから”といってかんたんに釣らせてくれるわけではないらしかった。


黒部ダム下


 釣れないまま釣り上がってダム直下の川幅が開けてくるところまで戻ってきた。


黒部ダム下


 右の大岩の影、落ち込みの際でライズを見つけた。慎重に近づいて背後の木にフライを取られないように注意しながら最初のキャストをするとなんと目の前の岩の下でまたライズがあった。岩の下にえぐれでもあってそこに隠れているようだ。ねらいを目の前の岩下に変える。


黒部ダム下


 警戒されないよう静かに落としたフライにイワナが飛びついた。20㎝弱だがやっと釣れた黒部のイワナだった。釣り始めてからすでに2時間半ほどが経っていた。


黒部ダム下

 
 1匹目が釣れてそこからいよいよ爆釣モードか、というとそんなことはまったくなくふたたび沈黙が続いた。川はさらに幅を広げて流れは平瀬が続く渓相に変わってきた。


黒部ダム下


 岸際の木が作る影にフライを流すと正面からゆっくりとイワナが浮いてフライをくわえた。


黒部ダム下


 たまたま竿抜けポイントだったのか素直な出方で気持ちがよかった。1匹目よりは一回り大きい24㎝、ロッドもしっかり曲げてくれた。


黒部ダム下


 山道を下ってきてすぐに渡る橋の下が小さな堰堤になっていてその左側の石裏に魚影を見つけた。吸い込むようなライズもしている。これはいただきだとほくそえみフライを投入する。いいところに入ったが手前の流れが思ったよりも強くフライは沈みながら左隅の岩陰に消えていった。ここで一呼吸おいて軽くロッドを立てる。ククッという生命感を手元に感じた次の瞬間、定番のすっぽ抜け、「クッソー!」と天を仰ぐ。

 ハー、とうなだれるが今のは食いこんでいない触ったぐらいだからまだいけるかもしれないとキャストを再開、3度目だったかのキャストでフライが吸い込まれた。「よし!いい型だ」とラインを手繰りネットをつかもうとしたところでまたも正真正銘のすっぽ抜け、今度はのけぞるように天を仰いだ。しっかり食ったと思ったんだけどな、2度目のバイトだからな、むこうも警戒しながらだったんだろう。それにしても悔しいバラシでしばらく立ち直れないようなショックだった。


 気を取り直して先へ進み広い瀬の小さな段が作る弱い白泡の切れ目あたりにフライを落とす。たぶん着水した瞬間、フライを視認する前に派手なしぶきが上がって思わずびっくり合わせになった。しまった根がかりかとおもう重い手ごたえだったがロッドはゆっくりと動き始めた。根がかりじゃないイワナだ、派手なバイトだったからスレかもしれない、とゆっくりラインを手繰る。


黒部ダム下

 
 尺とはいかなかったが9寸はあった。スレでもなくしっかりフッキングしていた。いい引きを楽しませてもらった。


黒部ダム下


 この後、ダム下の広いプールで何度かのライズをみたがヒットできず、Kさんが立て続けにライズをものにするのを対岸から眺めた。なんとかもうひとつとキャストを繰り返したが午後2時をまわってタイムアップ、ロッドをたたんで川を渡った。

 下りるときは20分で来た標高差200メートルの山道を40分かけて登った。汗が滝のように流れ落ちて息が上がる。だが登り切って駅のトンネルに入ると空気はひんやりと冷たく汗は急速に引いていった。

 秘境黒部のイメージが先行して初心なイワナがためらいもなくフライをくわえてくれる期待をふくらませていたが釣り人は多く、すでに抜かれてているイワナも多いのだろう。反応してくれるイワナもおどろくほどナーバスだった。そう、楽に行けるようなところは秘境ではないということなのだろう。


 今回おさそいいただいたKさん、お疲れさまでした。釣果はいまひとつでしたが素晴らしい景色の中でイワナの顔も見ることができ楽しい釣行でした。なにより多彩な釣りを楽しまれるKさんとの釣り談議は尽きることなく有意義な時間を過ごすことができました。またぜひご一緒させてください。今回はありがとうございました。





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この記事へのコメント
こんばんは。

これはほっぺたの黒い黒部らしいイワナですね~

長野県民なのに黒部には行ったことがないですが・・・
ザック背負って山小屋に泊まったりしないと秘境度は上がらないのでしょうか?
昔行った野呂川釣行を思い起こしました。苦労して乗り合いバスで行ったのに
釣り人だらけで厳しかったですtt

上りの急坂を40分かけて脱渓、やはり野呂川で経験があります、キツイですよね^^;
Posted by pon-pontapon-ponta at 2019年06月14日 18:36
pon-pontaさん、こんばんは。
野呂川の奥の両俣小屋に行ったときはこれこそ秘境と思いましたが、C&Rが設定されていて毎日3組程度の釣り人が訪れているのです。ググってヒットするようなところは秘境とはいえないのかもしれないですね。
Posted by wind knotwind knot at 2019年06月14日 20:19
 2日間の楽しい釣行ありがとうございました。
黒部に行けば「ストレスフリーなイワナがポンポン釣れるだろう」などと考えていましたがやはり甘かったですね。原因はいろいろあるでしょうが、この日は明らかに魚の絶対数は少なかったようです。

 私は初めて黒部のイワナに接しましたがその愛らしさに感動を覚えました。黒部のイワナは顔が黒くてごつごつしたイメージを持っていましたが、それとは全く異なり目で見て手で触ってみると「クニュクニュしてポッテリ」こんな感じでしょうか。 素晴らしい自然と共にこの愛らしい魚がいつまでも残っていてくれることを願わずにいられません。

 40分の急坂は「もう無理だ!」と思わせるものでしたが、本当に素晴らしい釣行でした。是非またよろしくお願いします!
 
Posted by いわなK at 2019年06月14日 20:24
いわなKさん、こんばんは。
2日間お疲れさまでした。あの急坂を含め、一人ではなかなか行けないところだなと思いました。お誘いいただいてよかったです。
ごつごつではなくてクニュクニュポッテリ、たしかにそんな感じでしたね。厳しい自然の中をしたたかに生きていく摂理があの身体に現れているのでしょうね。
またご一緒させていただける日を楽しみにしています。
Posted by wind knotwind knot at 2019年06月14日 22:04
 
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    コメント(4)