2019年04月24日
ちびっこイワナフェスティバル

来週はもうゴールデンウィークだ、どこへ行くのもたいへんそうなので今週のうちに行っておこうと昨日はイワナを釣りに出かけてきた。下界の桜はとうに新緑に変わった季節だが釣り場へと向かう道すがらは満開の桜を眺めながらのドライブを楽しんだ。
だが、釣り場へとたどる林道の入り口に着くとあたりの桜は満開どころか一輪の花も咲いていなかった。ふもととは200mほどの標高差だと思ったがこうも違うものかと驚いた。
車止めから40分ほど林道を上る。周囲はまだまだ冬の景色でわずかに芽吹き始めた淡い緑がやっと探せるくらいだった。もう少し季節が進んでいるかと思ってきたが、まだイワナ釣りには早かったかなと思いながら山道を登るとすぐに汗がふき出てきた。
家を出たころは雲に覆われていた空は川に着くころには青空がのぞき始めていた。
この渓ではこれまで釣り人に出会ったことがない。最後の堰堤を越えると人工物を目にすることもなくなる静かな谷だ。よく釣れるというわけではないが、まれに良型に出会うこともある。会えるかどうかは運しだいだが。
半年ぶりの山の渓、いつもは早く釣りたいと逸る気持ちをなだめながら釣りの支度をするのだが、不思議とこの渓に着くといそぐ気持ちを感じない。まずはこの空気をしっかり味わいたいという気になって昨日もザックを下ろしてコーヒーをゆっくり楽しむことからスタートした。
一服の後すこし下ってからロッドを振り始めた。今回もお手製の7'6" #2 のロッド、小渓流のイワナ釣りなので小さな巻き返しや石裏をピンポイントでねらいたい。リーダーは全長14ft 弱と短めにしておいた。フライは#16 のメイフライイマージャーを結んだ。
この川で釣り始めからすぐに反応があるのはめずらしいのだが、昨日は石裏からすぐに来た。
かわいいイワナだが、釣り始めてすぐの1匹というのは気持ちがいい。
段々になった落ち込みのやはり石裏からすぐに2匹目
少しサイズアップ、のっけからポンポン釣れるなんて言うことはめったにあるもんじゃない。こりゃいい日になりそうだ、この調子でサイズアップするぞとほくそんだ。
意気込んだのはいいが、次のイワナは残念ながらサイズダウン。
その次もまた次もどんどんサイズダウン。けっきょく20分ほどの間に5匹もヒットしたがいずれも手のひらサイズのちびっこばかりだった。落ち込みわきの反転流、石裏、いかにものイワナスポットにフライを置くとねらいどおりにくわえてくれるから楽しいことは楽しいのだがいかんせんこのサイズばかりじゃあ、でも釣れないよりはずっといいのだ。
それからも高反応な時間が続いたがなぜかフッキングしない。
3回連続のばらしの後、4回目は石の向こうの穴にいたのを引き抜こうとして手前の石に触れた瞬間にフックアウト。ちょっといいサイズだっただけに「ア゛-!」という悲鳴とともに天を仰いだ。
イワナたちは定番の石裏に身を潜めていて瀬に出ている魚はいなかった。9寸、尺とはいわないが7寸、8寸クラスのイワナももちろんいるはずなのだが良型は石裏のさらに石の下に潜り込んでいて姿を見せないのだろう。今シーズン、どこの川も渇水が続いていてこの川もご多分にもれずだ。もう少し水が増えるくらいの雨が降ってくれれば、良型の警戒心もゆるんでくれるのだろうがなかなかまとまった雨にはならない。今日も多少は降るような予報だったが、今のところ渓を潤してくれるほどの雨にはなっていない。
気を取り直して釣り上がる。石裏で反転する魚影が見えてフライをピックアップ。乗ってはいない、触ってもいないようだったのでキャストを繰り返した。何度目かのキャストで流心側からイワナがフライに飛びつくのが今度ははっきり見えた。
相変わらずのちびっこだが、それでも少しはロッドが曲がる。このサイズでも曲がってくれるのだから#2 ロッドにしておいてよかった。
最大でも6寸どまりだが手のひらサイズよりはましな出会いが続いた。2回だけフライを見切られたが、釣れたイワナたちはみなまったく無邪気にフライに飛びついてきた。釣れたのと同じくらいばらし、すっぽ抜けもあったが腕もさることながらイワナたちも餌をとるのが下手なんだろうという気がした。
右の大石の際でバシャッと大きな飛沫が上がった。ロッドを立てると一瞬ぐんとテンションが手元に伝わって次の瞬間、ビンとはねあがった。もう何回目のばらしか、おまけに一度はとらえた相手を失ったフライは後方の枝に絡みついていた。それほど大きくはないが出方がよかったので残念だった。フッキングしてのばらしだからな、もう出ないだろうなとは思ったが枝に絡んだフライを救出するあいだのインターバルもあったので、もう一度ねらってみる。
さきほどと同じレーンをフライがトレースする。
また来た。今度は意識して遅あわせ、しっかりフッキングした。
あれだけ派手なばらしの後ですぐにまたフライに飛びつく貪欲さ、これがイワナ釣りのおもしろいところだ。
退渓のリミットも過ぎてここを最後にと投げたフライをくわえてくれたのはまたも手のひらサイズだった。これが最後では心が残ると最後の最後のつもりで悪あがきのキャスト。
奥の石に張り付くように浮いたフライに茶色い影が飛びついた。
”手のひら”よりはましな”元気もの”、このイワナを最後にロッドをたたんで斜面を登り林道に戻った。手にすることができたのは全部で14匹だった。手の平サイズからよくて6寸までだったが、反応は釣れたのと同じくらいあったから30匹ほどのイワナたちに遊んでもらったことになる。まさにちびっこイワナ祭りとでもいいたいような1日だった。

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Posted by wind knot at 13:52│Comments(0)
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