2018年06月02日
渇水のちゲリラ豪雨
5月の最終日、未明まで振っていた雨も上がったようでヤマメの渓をめざした。未舗装の林道はあちこちに雨上がりの大きな水溜りができていた。うっかりスピードを落とさずに水溜りに進入しようものならフロントガラスまで泥水に洗われてしまう。水溜りのたびに最徐行で車を進めた。
川沿いの林道にははっきりと雨の痕跡が残っていたのだが、川に降りてみてあまりの渇水に驚いた。この時期、少しの雨水などは新緑の樹木にあっという間に吸い取られてしまうのだろうか。解禁から3ヶ月を経過してヤマメたちはまだ残っていてくれるだろうかと心配していたが、この水量ではたとえ残っていても石影に隠れてしまって出てきてはくれないだろう。
雨の名残で曇っていた空が明るくなってきた。今日は1日曇りの予報だが、ときおり太陽が顔を覗かせてくれるようだ。
イワナの渓に移動しようかとも思ったが、曇り空の下、ただでさえ薄暗い谷底にもぐりこむのは気が重かった。釣れなくても開けた川でロッドを振ることに決めた。1匹でもヤマメの顔を拝むことができればよしとしよう。
そんなふうに達観した釣りができればいいのだが現実はなかなかそうはいかない、釣れない時間が延々と続きため息の連続だ。
見かねたようにフライを追ってくれたかわいいヤマメ。
流心ぎりぎりぐらいのところにいたのだろう脇まで出てきてフライをくわえた。まったく”貴重な1匹”だ。
春にはいい思いをさせてくれたえん堤下も沈黙。数回あった反応はいずれも不発。おそらく直前で見切っているような出方だ。
一時顔を見せてくれた太陽はすっかり雲に隠れてしまっている。薄暗くなるほどではないがまた降り始めるかもしれない。車にもどって上流に移動してみることにした。1Kmばかり上ってきて車を止め、パスタをゆでた。パスタを食べてコーヒーを飲んでいるともう釣れるかどうかはどうでもいいような気持になってきた。それでも昨年おおものをしとめそこなった岩盤際のすき間を見てみようと腰をあげた。
しかし、魚の気配はまったく感じられなかった。餌釣り師もかならずやるだろう場所だから、釣り切られてしまったのか。禁漁間際のころここでいい魚を見たこともあるのできっと岩盤のえぐれの下に隠れているのだろうが、今はまったく姿を現しそうにはなかった。
水は少ない、落ち込み以外はほとんど流れていないくらいの水の動きだった。
流芯を流れるフライに小さな影が飛びついた。
1匹目よりもさらに小さなヤマメだった。このヤマメが釣れてからそれまでよりもヤマメからのコンタクトが増えてきた。だが魚は小さくフッキングしない。
この落ち込みで一瞬フライをくわえたヤマメはこれまでよりも一回りは大きかったが、かすかな手ごたえを残しただけで外れてしまった。
少し前からぽつぽつと川面に小さな波紋を作り始めていた雨粒がだんだん大きくなってきて、あっという間に本格的な雨になった。
こりゃたまらんと見上げるとちょうど車を止めた場所の前に来ていた。助かったと岸に上がってウエーダーを脱ぎ、車に飛び込んだ。ちょうど潮時というやつだったんだろうと林道を下ったが、ものすごい勢いで落ちてくる雨に車の中にいても恐怖を感じるほどだった。たまたま雨がひどくなるところでちょうど退渓できてよかったが、これがイワナの渓で谷底にいたらまさに恐怖だったろうと冷や汗がにじむ思いだった。
電波の届くところまで降りてきてタブレットで豪雨レーダーを見るとコンパクトだが真っ赤な雲のちょうど真下にいるようだった。雨雲はあと10分か20分で通り過ぎてしまうようだったがさすがにもう釣りをする気にはなれなかった。

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Posted by wind knot at 10:24│Comments(0)
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