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2018年03月04日

やるせない解禁

やるせない解禁




 今年の解禁は群馬県上野村の神流川、解禁日の釣行はたぶんはじめてのこと。これまで解禁日は釣人多数のお祭り騒ぎを敬遠して、あえて避けていたのだが、まあ一度ぐらいはと出かけてみた。2泊3日のぜいたく解禁釣行だ。
 ところが数日前から春の嵐の予報が出て、雪混じりの大雨と強風ときては解禁の期待もすっかりしぼんでしまった。それでも休みも取ったしヴィラの予約もひと月も前に済ませていたのでダメモトは覚悟で現地入りした。

 大雨の中を出発、ワイパーをフル稼働して平時ならもう明るくなっているはずの薄暗い関越道をひた走り、鬼石を過ぎるころには峠を越えたかに見えた雨は上野村に近づくころまた激しくなってきた。ヴィラ裏に着いて途方にくれながら雨雲レーダーを見るとあと15分もすれば雲は抜けそうだった。雨雲さえ抜けてしまえば強風ながらも晴れの予報だった。


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 3月1日の朝9時30分、ヴィラ裏の神流川には数人の釣人はいるものの解禁日の賑わいはどこにもなかった。


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 川は水量たっぷりにして薄めのカフェオレ色でライズどころの話ではない。それでも解禁日となれば腹を減らしたヤマメたちがもしかしたらフライをくわえてくれるかもしれない、とニンフを流してみるがもちろんピクリとも反応はなかった。気分は絶望的だったが昼過ぎまでフライの色を替えながらあちこちの流れにやけくそ気味にフライを投げ込んだ。 やけくそにフライを流してもなんの役にもたたないことはわかっていたが、ここまで来てなにもしないでいられるほどに精神修養は積んでいなかった。

 昼になり福寿庵でそばをたぐってから、上流の様子を見に行った。淀川堰堤より上は濁りはなかったがどこも餌釣りの釣師でいっぱいだった。さらに三峡のあたりまでくると釣人の姿は減ったが雪代の流れ込んだ急流はとてもヤマメが釣れそうな状況ではなかった。あとはもう支流にでもいってみるしかない。ひょっとして「川の駅特設釣場」にこの悪天候でキャンセルでもないかと漁協に電話してみると、いっぱいですとつれない返事が返ってきたが明日は1区画だけ空いていると聞き、すぐに予約を申し込んだ。


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 その後入ってみた支流は思いのほかに水も少なく虫も飛んではいたのだが水温は4℃ほどと冷たくヤマメの気配はなかった。おまけに予報どおりの強風が吹き荒れてフライはこちらの思惑は無視してあらぬ方向へと飛んでいった。数10mも進んだところでとてもやっていられなくなり川からあがった。気温は低くはないのだが強風に体温が持っていかれて早く温泉に浸かりたくなった。


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 ヴィラに戻る途ちゅう念のために役場前に寄ってみたがこちらもヴィラ裏と似たようなものだった。なんともやるせない解禁日だった。


やるせない解禁


 その日の夜、部屋のベランダからはほぼ満月の月が眺められた。空は晴れ渡ってときおり流れてくる雲が足早に月を追い越していった。明日の朝は放射冷却で冷え込みそうだった。風もおさまらなければとても釣りにならないかもしれないと気持は悪いほうへと傾いてくる。だが明日は特設釣り場だ。朝早く寒さをこらえながら場所をとる必要もないし濁りもない川できっと何とかなるだろうとベッドにもぐりこんだ。



 翌朝、宿でゆっくり朝食をいただいてからヴィラ裏の様子を見に行った。水量は前日よりもだいぶ減ったが濁りはまだたっぷりと残っていた。すでに数人の釣人がロッドを振っていたが、こちらはすっかり余裕である。こうなると予約制の釣り場というのはまったくありがたいものだと思った。

 ふれあい館で受付をすませ車に戻ると後ろから声をかけられた。振り向くとなんと里見さんだった。解禁の状況は漁協のFBで紹介されていてしっかりヤマメをキャッチしている里見さんの写真も載っていたので「さすがです」というと、「いやいや昨日は厳しかった、この特設釣り場でさえみんな大苦戦だったらしい」といっておられた。

 
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 予約した区間は”ア区”、川に降りると”ア”の表示が出ていた。知らない人が見たら「なにこれ、”ア”ってなんなの?」とかいいそうで、珍百景にでも出てきそうな景色だった。


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 ”ア”の表示のすぐ上、遊歩道の脇のプール最下流にヤマメが溜まっているのが見えた。ヤマメのグループはざっと見ても数10匹はいて底にべったり張り付いていた。少し上の流れにはハコスチの姿も見えた。


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 昨日は1匹も姿を見なかったヤマメが大量に群れているのを見て脈拍が跳ね上がるのを押さえ1投目のキャスト、#14のGBニンフがゆっくりと流れていくのが見える。フライは群れの右側を流れていった。2投目、フライを落とす位置をすこし左に修正する。群れの先頭近くにいたヤマメがふっと浮き上がって身をくねらせた。マーカーにあたりが出る前にサイトで合わせてのヒット。


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 まるであっけない釣れ方だったが、とにかく2018年の解禁ヤマメ、昨日が悲惨だっただけにうれしい1匹だった。


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 1匹目なのでストマックを見させてもらった。ユスリカのラーバ、ストーンフライのニンフの他ブユのピューパと見られるものが2つばかり混じっていた。底近くを流れてくるものしか食っていないのはあきらかだ。

 流したフライはサイズも何もマッチしていないが、底近くを流れてくる食えそうなものならとりあえずはOKということだろう。


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 フライをうまくヤマメの口元に送り込めればヒットした。数匹釣ると見切るようになったのでフライをユスリカラーバに替えるとまた食うようになった。ここだけでツ抜けもできたころ、まだまだ釣れそうだったがなにしろ遊歩道からのキャストはまるで釣り掘りで釣りをしているようなもの。釣れるのはうれしいがいささか”釣趣に欠ける”というものだった。

 このプールを離れて上流に向かったものの魚が溜まっているのは間違いなくほとんど水の動かないような水深のあるプールだけだろう。ハコスチの姿は見かけるもののヤマメはまるで気配を見せない。この”ア区”はスタート地点のすぐ上流で支流の黒川の最初の堰堤までが区間に含まれている。川幅の広い本流よりもポイントがしぼりやすいかと黒川に入ってみた。


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 こちらは水深も浅めで流れも穏やか、ヤマメの姿もちらほらと見ることができた。2匹のヤマメを追加、しかしこの区間は短くてすぐに堰堤に突き当たる。


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 この堰堤の左隅でマーカーが勢いよく引き込まれた。


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 大きくはないがヒレのきれいなヤマメだった。年越しのヤマメかもしれない。


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 もう1匹釣れたのも年越しらしいヤマメだった。この支流には昨年のヤマメが多く残っているようだった。


 ふれあい館に戻り「いのぶたカレー」で腹を満たしたあとすぐ下のプールに入った。


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 ここにはヤマメとハコスチが混在していたので万一ハコスチがかかってもいいようにティペットを5Xのフロロに替えておいた。ねらいが当たったのか最初のヒットはハコスチだった。


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 前回ハコスチをねらいに来たときはノーヒットだったのに皮肉なものだ。それでも久しぶりに力強いファイトが楽しめてこれはこれでもちろん楽しい。


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 ポイントをプールの最下流に移ってフライを流すと数投に一度の割合でヒットが続いた。ときおりライズも見えるようになってきたのでひょっとするといけるかもしれないとドライフライを試してみることにした。エクステンドダン、クロカワゲラとフライを流すも反応がない。まとまった、といえるほどではないがライズは続いている。おかしいなと首をひねりながらフライをいつものメイフライイマージャー#16に替える。


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 たてに飛び出してフライをくわえた。ドライフライでの初ヒットだ。食ってるのはユスリカかクロカワゲラのはずだがまだスレてはいないからだろうか大きめで分かりやすいフライが効くのかもしれない。


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 このあとも同じフライで次々とヤマメが飛び出してきた。マッチザハッチの釣りとはいかなかったが水面でのヒットはやはり楽しい。この日は解禁日のやるせなさを払拭するように30匹ほどのヤマメを釣ることができた。

 
 そして3日目は土曜日とあって川には朝から釣人が並んでいた。ヴィラ裏の流れは水量も落ち着いてにごりもほとんどとれていた。天気は快晴で風もなく、どうやらこの日が実質的な解禁日となったようだ。しかしそんな絶好の状況とはうらはらにヤマメからのコンタクトはなかった。にごりはとれてきたのでヤマメの姿が見えてもよさそうなものだが、まったく見えない。一級ポイントに陣取った釣人だけには釣果があったようだがそれ以外はほとんどヒットはないようだった。

 解禁のお祭り状態となってきたヴィラの盛況(釣れてはいなくても人だけは多い)に閉口して初日に行った支流に行ってみたが反応がない、やはりだめかと肩を落としかけたところになんとルアーマンが下ってきた。少し先まで行って戻ってきたところだという。
 これでダメ押しの戦意喪失。最後に役場前に行って見るとここもずらりと並ぶ釣人の姿。実質的な解禁日と土曜が重なったとなればこの混雑振りもうなづけるものだが、それにしてもすごい人出だった。もうこれ以上は釣りをする気になれず帰路に着くことにした。

 C&R区の不調と特設釣り場の絶好釣との落差があまりにも大きくて特設区にばかり放流してるんじゃないの、といいたくなるぐらいだが初日の濁りの影響が大きかったのだろう。3日間のぜいたく釣行だったが初日と3日目はまた違った意味ながらやるせない釣行となってしまった。中日の釣運がもう少し前後にも行きわたってくれたらと思うがそれこそぜいたくということだろう。ヤマメたちも環境に順応するだろう今月下旬くらいにリベンジに訪れることにしようか。


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 最後に今回の使用フライ。左の2列はヒットフライで、右の2列はノーヒットだった。もっともノーヒットだったニンフは泥にごりの中、苦し紛れに投げたものだ。ドライフライはライズをねらうために用意した今シーズンの新作フライだが、今回は安定したライズにはお目にかかることはなかった。実力のほどの判定は今後のお楽しみとしてとっておくことにしよう。





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