2023年12月10日
年内最後?の釣行
今年は例年に比べるとずいぶんと暖かい12月のように感じる。それでも12月は12月、そろそろ釣りに出かけるのもためらわれる季節だ。
リタイアの身だから別に12月だからといって忙しいわけでもなんでもないのだが、年末という言葉だけで遊んでいてはまずいんじゃないかと思うのは長年のサラリーマン生活で染みついた習性なんだろう。
そんなことで今年の釣り収めかなあと、また上野村のハコスチ釣り場にいってきた。年内最後だからと勝手に理屈をつけてお泊りで2日分の釣りをすることにした。
12月になって漁協の営業も朝9時からになったので6時すぎに家を出た。小雨がぱらついていたこともあり、空が明るくなり始めるにはまだ少し時間がかかりそうだった。
花園ICを降りる頃には空も明るくなり雨も上がったが、秩父市街を抜けて志賀坂峠に向かう道はところどころ凍っているように見えた。慎重にハンドルをにぎったが、心配していた峠道はまったく凍結していなかった。
いつもより出発が遅いし、道路状況も心配で3時間みていたのだが、けっきょくいつもと同じ2時間半ちょっとでふれあい館に到着。今回もすでに数名の釣り人がふれあい館のオープンを待っていた。
受付を済ませ川に下りいつものように目の前のプールで釣りをスタート。
対岸の樹木はもうすっかり葉も落ちて冬の装いに変わっていた。前回よりも水が少ないのかほとんど止まったような流れの底近くに魚影が見える。岸よりにいた数匹の群れにフライを投じるとスーッと移動して流心に定位している群れに合流していく。「チッ!今日も始まったぜ~」というハコスチのつぶやきが聞こえるようだ
11月の末に小型の美ハコを400匹以上放流したとのことで魚影は多く見えるがたしかに小型が中心のようだった。まずは流心に並んでいる隊列をねらっているとすぐにインジケーターが引き込まれた。
ファーストヒットはまさに1週前に放流されたと思える27㎝ほどのハコスチだった。小型ながら美ハコというだけあって尾びれの先がとがったきれいな魚だった。まあ、釣れてくれたのだから文句はいえないがこのサイズだとハコスチといわれても今一つピンと来ない。それに朝一番ですぐにヒットすると必ずあとが続かないといういやなパターンが頭をよぎる。
しかしこの日はこのあとだいたい20分ぐらいの間隔でヒットが続いた。

釣れてくるのは30㎝前後の魚ばかりで先週の放流効果が続いているようだった。フライは♯16~14のニンフでノーウェイトのフライのほうが反応がいいように思えた。前回よりも水が落ちたのかフライがボトムを引きずってしまうのでインジケーターからショットまでの長さを前回よりも20㎝ほど短くしてちょうどいい感じだった。
5匹ほど釣るとあたりも出なくなったので早めのランチタイムをとって、午後は上流部の様子を見に行くことにした。
昨年は12月の声を聞くと釣り人の数もだいぶ減っていたように記憶しているが、今年は相変わらずの盛況ぶりだった。釣り場にいた漁協スタッフの話だとこの日の入場者は47人とのことでびっくりしたが、前の土日は30人くらいだったというから落ち着いてはきているのかもしれない。
それにしても土日より平日のほうが多いというのは、働き方改革というやつのおかげなのか?いやいやどちらかというと、もう毎日が休日という高齢者が多いから、といったほうがよさそうだ。もちろん私もその一人だけど。
漁協スタッフに今日は小型ばかりで大きいのが来ない、とぼやいて別れた直後に60㎝近いのがかかったがダッシュ一発でぶっちぎられた。アチャ~、釣れないのは腕のせいだってことかーと頭を抱える。
そしてキャッチできるのはこのサイズ。一般的なニジマスに比べれば引きの強さはやっぱりハコスチなんだとは思うけど、せめて40㎝アップに出会いたい。
放流して間がないからなのか、今回はあたりの出方がいつものスレッカラシとちがって素直な気がした。インジケーターが上流に向かってスッと沈んでいく。かすかに速度が落ちるとか、止まる、ずれるという微妙な魚信ではないのだ。インジケーターがスッと入るっていうのはドライフライの釣りとそん色がないくらい気持ちがいい。
何度かストマックを取ってみたのだがことごとく不発で出てくるものといえば藻のくずのようなものばかりだったのだが、やっとそれらしいのが取れた。食べていたのはシャックばかりだがサイズはフライとマッチしていた。シャックとなればやっぱりノーウェイトのフライを漂わせるような感じがいいのだろうと納得する。
時刻は3時になって、入れる場所を求めてたどり着いた流れにはポツポツとライズがあった。しばらく眺めているとあちこちでバシャッ、バシャッとやり始めた。そういう時間なんだな、と5Xのティペットに6Xを2ftほど継ぎ足して♯18のコカゲロウを結んだ。
何を食っているのかは全くわからない。たぶんコカゲロウだろうとか推測していたわけでもなく、♯18ぐらいのこのフライで出てくれればやりやすいんだけど、というこちらの事情による選択だった。
2投目か3投目かでフライが着水してすぐ、バシャッときた。

出方は気持ちがよかったが食ってきたのはこの子、ハコスチもライズしていたはずなんだけどこっちのほうがやる気で勝っていたということ?
ライズは続いていたので2匹目をねらう。定位している魚がライズを繰り返しているわけじゃなくて、あっちでバシャッ、こっちでバシャッのモグラたたきだった。魚影も多いのでどの魚がどういうタイミングでライズするのか、見極めがむずかしい。フライに反応しそうな挙動の怪しいハコスチを探してフライを打ち込む。
およそ30分ほどのモグラたたきゲームの末にフライをくわえてくれたのは今日一番のハコスチだった。6Xのティペットを持っていかれる心配のない40㎝あまりのサイズだったがそこそこのやり取りを楽しませてくれた。
同じフライでさらに小型のハコスチと

このお方を追加して1日目の釣りを終了することにした。
宿泊は三岐の木もれ陽。ここは5月以来の訪問で玄関を入るとクリスマスツリーがお出迎え、食堂にもクリスマスの飾り付けがしてあった。飾り付けるのも大変だったんじゃないかと思うが、いつもの殺風景な室内がなんだか暖かく見えるのがうれしい。
部屋に荷物を入れてササっと着替えを済ませたら温泉で温まった体が冷えないうちに缶ビールでひとり乾杯に移る。つまみはコンビニ弁当とホットサンドメーカーで焼いたウインナーにおつまみチーズ。アー、極楽極楽。
缶ビールを2本空けて、ぬる燗にした日本酒を飲み始めたころ、しおじの湯で食事を終えた同宿になるSさんが帰ってきた。Sさんは釣りでも登山でもなく、モンキー125を駆って林道を走破するのが趣味というライダー。年は私より一つ上ということで話が弾み互いに持参した日本酒がすすんだ。
翌朝は5時40分に目が覚めた。朝食を済ませてコーヒーを片手に外に出てみるとやたらに寒い。車に乗せたままのチェストパックに付けた温度計を見ると‐2℃、寒いわけだ。風も前日より強くてこりゃ厳しい釣りになりそうだなと覚悟する。
2日目も駐車スペース前のプールでロッドを振る。前日のドライフライからニンフにシステムを替えて様子を見るが、やはり寒さのせいかハコスチたちは底べったりでまったく動こうとしてくれない。
まったく反応もないまま時間だけが過ぎていき場所を替えようかと思い始めたころ、やっとインジケーターが小刻みに揺れるように動いた。
よし、やっと来たぜとロッドを立てる。35㎝くらいかな、ずしんとくるようなやつじゃないがとにかく1匹釣れてほっとした、と思ったらすっぽ抜けた。あのモゾモゾっと来るような魚信は甘噛みみたいなものでたぶんかかっても皮1枚だったのだろう。ハァー、厳しい。おまけに風もどんどん強くなって大量の落ち葉が流れていく。枝にまだ残っている枯れ葉が落ちてくるのと、斜面に積もった落ち葉が風に巻き上げられて降ってくるのとダブルで流れてくるのだからたまらない。
場所を替えて上流にやってきた。風と落ち葉の合間を見ながらキャストを繰り返していると沈み石の脇を通過するインジケーターが勢いよく引き込まれた次の瞬間、巨大なハコスチがグワーッとド迫力でジャンプした。空中に見えた魚体は優に60㎝を超えていそうだ。そのまま上流に向かう最初のダッシュはなんとか止められたが、下流方向に反転して一気に走られるとあっけなくラインブレイク。60㎝が取れないんだよな~、やっぱり5Xじゃ無理なのかと肩を落とす。
気を取り直して小移動、なかばやけ気味に足元にいる魚影の鼻先にフライをプレゼントしてやるがもちろん見向きもしてくれない。ところがレーンを外れて落ちたフライをめがけて赤系のハコスチがダッシュした。アレ?と思う間もなくインジケーターが引かれる。思わずのけぞるように合わせるとたしかな手ごたえ、うひゃあ、こんなところでかかるとは思わなかった。
バタバタの合わせでひょっとしたらスレかもと気になったが幸いフライはしっかり口に入っているようだった。サイズは50㎝くらいだから切られることもないだろう、ゆっくりやり取りを楽しませてもらった。
ネットに収まったのはヒレも大きくきれいな52㎝の美ハコ、それほど太くはないが何度もドラグを鳴らすいいファイトをしてくれた。
その後もここでねばってなんとか2匹追加
この魚は20㎝ほどでまだパーマークが残るような個体だった。今年の放流魚ではないだろうから、ここで再生産されたハコスチなのだろう。昨シーズンは15㎝くらいのチビハコがけっこうかかっていたのでそれが成長したものかもしれない。ヒレピンのきれいなニジマスだが、再生産したハコスチはハコスチの特質を残すものなのだろうか。養魚場で成長するわけではないのでそもそもそんなには大きくなれないだろうから、普通のニジマスとして世代交代していくのか?ちょっと興味のあるところだ。
最後は今回のレギュラーサイズを釣ったところで風と落ち葉にギブアップ、2日間の釣りを終了することにした。1日目はサイズが伸びなかったがツ抜けもできてまあまあだった。2日目はコンディションに恵まれず厳しかったがいいのが1匹釣れたのでよしとしよう。”今年最後”も楽しい釣りで〆ることができた。

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Posted by wind knot at 13:53│Comments(0)
│フライフィッシング