2023年06月23日
バラシ対策で尺イワナ?
今シーズンはなぜか例年にも増してバラシが多いような気がしている。出たのに乗らなかったというのはもちろんだが、一度は乗ったはずなのに外れてしまった、というのが何度もあって頭をかかえることが多い。なぜ、外れてしまうのか、理由はたくさんあってなかなか対策を考えるのは難しいのだが、ひとつわかっている理由があって今回の釣行ではその対策にフォーカスしてみたいと思った。
出かけたのは今年2回目となる上野村の中ノ沢毛ばり釣り場、前回は4月末の釣行で35cmのイワナをキャッチしている。上野村の特設釣り場はその後、本谷毛ばり釣り専用区にもいったが残念ながら尺物には出会えなかった。今回はなんとか大物にお眼にかかりたい、もちろんバラしたくない。
バラシの理由のひとつとしてわかっているのは”ティペットのかぶり”、着水したフライにティペットがかぶるように絡みついてしまう現象だ。特にポストを持つフライの場合、ポストの根元にティペットが結束してしまうことが多々ある。こうなるともちろんフッキングはしてくれない。一度は魚の口にフライが引っかかったとしても悪くすると逆方向に力が加わって外れてしまうのだ。
ロングリーダーの釣りではこのティペットのかぶりが起きやすい。ロングリーダー&ティペットの釣りというのは長いティペットを使ってスラックをたくさん作ることによってドラッグを回避しようというわけで必然的にティペットのかぶりが発生しやすいのだと思う。ティペットのかぶりとはフライとティペットが重なるということで、角度をつけたキャストでティペットを先に落とした後からフライを着水させたときに起こりやすい。クシャッとスラックになったティペットの上にフライが乗ったままフライをピックアップする、または魚がくわえてしまうとティペットをフライが引っかけて絡んでしまうわけだ。フライをフワッと着水させてあとからティペットを落とすときも同様のことが起きる。
フライとティペットが重ならないようにするにはティペットまでしっかりターンさせるのが一番だがターンさせ切ってはロングリーダーの意味が半減してしまう。それで考えたのがティペットとフライが重ならないように微妙に着水をコントロールするということ。しかしどうコントロールすればいいのかはまったくわからない、現場で試行錯誤するしかない。それと大事なのがティペットのかぶりを早期に発見すること、フライの状態をこまめにチェックするのはもちろん、浮き方がおかしいと思ったら絡んでると疑って間違いない。
いつものように早めに上野村に入り、今回は役場前のC&R区で一振りすることにした。
このところヴィラばかりだったので役場前で釣りをするのは久しぶりだった。瀬に入っているのがいるだろうとしばらく流してみたが一向に反応してくれない。対岸のボサ際ではときおりライズもあって魚影も見えるのでねらってみたがこれがまたシビアな釣り。手前の強い流れを越えて対岸ぎりぎりにフライを長く置いておきたいがティペットがかぶる云々はおろかスラックを入れたキャスト自体がなかなか決まらない。
奇跡的にボサ際のギリギリに落ちたフライに飛び出てくれたヤマメは大きくもきれいな魚体でもなかったがやっと手にした貴重な1匹。
その後、ねばって針の穴を通すようなピンスポットで1匹追加。2時間弱、手こづってなんとか2匹のキャッチ、なんだか先が思いやられるなと不安を胸に川の駅に向かった。
中ノ沢は今回も最上流のA区に入った。前回ファーストヒットのあった対岸のブロック際は水が高く水面が荒れていて出てきそうになかった。まずは手前の流心脇のゆるいところかとキャストする。ここなどはごく至近の距離だからバックキャストはほぼ真上に跳ね上げて狭いループを先に着水させてあとからフライを落とす。まさにティペットの上にフライが落ちていくイメージだが、これをコントロールして重ならないようにするなんてどうやったらできるのか見当もつかなかった。
まあ、そんなのすぐにできるわけないんだからと2投目、落ち込みからスーッと大きな魚影が浮いてきてフライをくわえた。
いきなりの大物だった。さいわい♯14のフライはバックリと飲み込まれていてティペットの絡みもなかった。
こりゃあ尺いってるだろうとメジャーをあてると31cmあった。念のため対岸のブロック際もねらってみたが前回よりも20~30cmは増水しているようでやはり反応はなかった。
増水してポイントの選択にやや迷う。ちょっと荒れすぎかなとダメもとで落としたフライに魚が飛びついてきた。
かわいいのが果敢にも、という感じだが1匹目と足して2で割ればちょうどアベレージサイズというところか。ティペットのかぶり対策のほうはここも至近距離のピンスポットねらいだが今度はどちらかというとフライ先行で落とす感じのキャストで、ティペットの上にフライが乗ってしまうことはないようだった。
続けて手前の速い流れと岩盤際にはさまれた緩流帯をねらった。ここは速い流れに逆U字にティペットを残してドリフトの時間をかせぎたい。うまく決まればティペットとフライがかぶることはないはずだ。
キャスティングが思惑どおりに決まったのかどうかはよくわからないのだが、こんな速いところから出るとしたら絶対ヤマメだろう、という予想は見事に外れて8寸ほどのイワナがフライをくわえてくれた。
釣り人が歩く側にポツンと置かれたコンクリートの遺物、その脇の小さなたまり、ここにいたらラッキーだけどとフライを浮かべると
いるんだこんなとこにも、というラッキーな1匹。これもイワナ釣りの楽しいところだ。
だんだん、ティペットのかぶり回避のことなどは忘れてねらった筋にフライを落とすことに没頭するようになってくる。幸いにこの日はここまですっぽ抜けもバラシもなかった。これはキャスティングが決まっているからではなく、イワナたちがしっかりフライをくわえてくれたからなんだけど。
1発目の尺イワナのあとはそうそう大物がかかることはなかったが20~24cmほどのイワナがコンスタントに釣れて楽しかった。ティペットのかぶりは何度か発生したのだがこまめにチェックしていたため、肝心なところでのバラシにつながることはなくてすんでいた。
A区終点のえん堤ではなにも起きることがなく
いったん車にもどってランチタイム。少し前まではランチというとコンビニおにぎり2個かおにぎり1個なら+カップヌードルが定番だったが、最近はおにぎり1個ですませてしまうかプラスしてもミニサイズのカップ麺で十分になってきた。それでもあと5㎏は落としたい体重はまったく減ってくれない。
午後の部はひとつ下ってB区から入りなおす。この日の予約状況を聞き忘れたので他の区間に人が入ったのかどうかわからなかった。川の駅で受付をしていたのは私のほかにたぶん4人ほどだったがそのうち二人は本谷に入るようだった。
先行者がいたかどうかはともかく、B区の反応は薄く感じた。3時にはあがるつもりだったので2時間弱の釣り、細かいところは飛ばしていたのでひょっとしたらそういうところにいいのがいたのかもしれない。
大岩の際、明確な反転流というほどではないたるみ、一瞬ごく小さな波紋が見えたような気がしてフライが消えた。ロッドを立てるとなんとなく軽い手ごたえ。あまり大きくはなさそうだなと思いながら、まずは安定した立ち位置に下りていく。岸際に立ったところでラインを手繰ると動かなくなった。あれ、どこかに引っかかってしまったかと軽くあおると水面に刺さったリーダーがゆっくり下流に向けて動き始めた。こりゃ、意外とでかそうだ、と慎重に腰を落とした。浮いてきたのは尺には足りないか、でもいいイワナだ。
どうかな、尺あるかなとメジャーを当てると30cm+、いかつい顔の雄イワナだ。
B区に入って反応が薄いというぼやきも帳消しになる2本目の尺だった。
そして終点のえん堤、トンネルえん堤の下流部はすっかり砂利に埋まってしまって数匹の小型に走られただけだったが、その一段下でラストフィッシュ。
バラシ対策がうまくいったのかどうか、はなはだ心もとないが、とりあえずアァーっ、と天を仰ぐことはなくて済んだのはよかった。
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Posted by wind knot at 21:26│Comments(0)
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