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2020年03月13日

昼下がりの魅惑

昼下がりの魅惑




 今週は美麗ヤマメをねらいに1泊2日の釣行。成魚放流もされている本流に合流する支流でここには成魚放流は行われていないようだ。3月11日の朝、前日の雨が大きな水たまりをつくる林道をめざす流れに向かった。暖冬とはいえ3月2週め、朝の空気は冷たく水温をはかると7℃ばかりあったが水面の釣りはまだ難しいだろうと思えた。

 先週は上野村で今シーズンの解禁をむかえた。大量に放流されたヤマメがバシャバシャとライズするのをカワゲラのフライでねらうとヒットが続いたが今回はそうはいかない。釣れればきれいなヤマメに出会えるがヤマメの気分次第でもちろんボウズもありえる。ただ、人の気配のない静かな川でロッドを振れれば釣果は抜きにして渓流シーズンのスタートを心の深いところで実感できる。


昼下がりの魅惑


 車を置いた場所からしばらく下流に林道を歩いて入渓した。午前8時ちょうど、ヤマメたちが動き出すにはまだまだ早かった。やまの切れ目からさす朝日のひだまりに腰を下ろし湯をわかしてコーヒーを入れた。「うん、いい、とてもいい」と心の中でつぶやいたのか声に出していたのかよくわからなかった。


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 ここにくるまで昨年10月の大雨でどうなっているのかと気をもんだ。上野村の神流川は渓相がすっかり変わって状況はよくなかった。この川に入るための林道がそもそも通れるのだろうかもわからなかったが心配は杞憂だった。林道も川も目立った大雨の影響はなさそうに思えた。水量はまったく適量だったがライズも魚影もみえない。スタートはニンフを結ぶことにした。ヤマメ好みの直線的な流れにフライを打っていくが何事もおこらず静かに時間が過ぎていった。2度ばかり今のはあたりだったな、というマーカーの動きがあったが乗らなかった。


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 そろそろ1匹来てほしいという思いが切実になってきたところでマーカーがぐっと引き込まれた。よし、やっとだとラインを引き寄せネットに手をやったところであえなくバラシ。「カーッ!なんだよ!食いが浅かったんだろうなー」
 サイズはそれほどではなかったが貴重なファーストヒットを取りこぼしてがっくり肩を落とすことになった。


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 なんどかいい思いをさせてもらっている堰堤下も沈黙するばかりだった。堰堤を巻いたところで気分転換にパスタをゆでてランチタイムにした。この先は堰堤上の開けて平坦な流れが暫く続く。その間に数か所あるプールがねらいどころだと思いながらパスタを食べているとジャケットのそでにカワゲラがとまった。


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 やっと虫がでてきたようだった。ニンフにもあまり反応はないしそろそろドライフライに替え時かもしれなかった。


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 ランチの後、ひとつ目のプールにヤマメはいないようだった。はー、ここもだめかとため息がでる。その先のプールを下から眺めていると瀬尻のわきでポワっと水面が変化したように見えた。岸から離れて水面に目を凝らすと魚影が見えた。初めて見る浮いているヤマメだった。朝からやや強めの風が続いている。風の合間を待ち息を止めるようにしてロッドを振った。

 カワゲラアダルトが水面に落ちた。しまったねらいよりショートだ、いっしゅん目がねらっていたあたりの水面に動いた。視線をもどすとフライが消えてライズリングが広がった。食った!ロッドを立てて下流に回り込んだ。頼むからバレるなよ祈るようにしてネットをつかんだ腕を伸ばした。


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 無事ネットにおさまったヤマメは18㎝ほどだった。フライは口から外れてネットに引っかかっていた。皮1枚だったようだ、バレなくてよかったとため息が出た。それにしても春のヤマメのこの美しさはどうだ。色白の肌に乱れのないパーマーク、側線にそったほのかなオレンジ。黄色みがかったむなびれはピンととがり、尾びれは飴細工のように透き通っている。ここまでの数時間はこの1匹に出会うための前奏曲だった。


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 ストマックからは予想通りのカワゲラが出てきた。流れてくる虫は目視できなかったので水面直下をニンフが流れているのかと思ったがすべてアダルトだった。飛び立ったカワゲラが水面に落ちて食われるのか羽化したてで飛び立つ前に食われるのかわからないがカワゲラの不思議なところだ。

 ここからはコンスタントにヒットが続き、と行きたいところだがそうはいかない。それでも午前中とは明らかに川の生命感が違ってきたのを感じた。カワゲラのハッチが続いているようで水面近くを飛翔する虫の姿も目立ってきた。


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 ここも実績のある流れが直角に変化するぶっつけの下流で今回もフライをくわえてくれた。


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 最初のヤマメとは異なり全体に錆の残る褐色のボディが谷の魚らしかった。


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 かわいいヤマメを釣ったあと大きな岩にはさまれた水深のある流れに出会った。


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 深場では浮いているヤマメはいないだろうなと思いながらキャストをくりかえした。何度目かのキャストで水面に大きな飛沫が上がった。


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 やせているが今回の釣行では最大のヤマメ、といっても20㎝ほどだがその体からは産卵を終え冬を乗り越えてきた自然の厳しさを感じる。


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 流心脇の石裏からひょこっと口を水面に出したのは


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 小ぶりだが見事な色づきのぷっくりとしたヤマメだった。ひれの大きな魚でこういうのは大きくなるんだろうなと思いながらもう釣られるなよと流れに返した。


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 フライをくわえてくれたかわいいヤマメたちをまとめてアップ。午前の状況ではどうなることかと思った1日目はそれでも午後になってまずまずの釣果を得ることができた。1匹のカワゲラを捕まえてからの川の状況の変化ヤマメたちの捕食物とフライのマッチング、ねらいが当たったマッチザハッチの釣りはやはり楽しかった。


 2日目の朝、前日ほど気温は上がらないが風のない穏やかな1日という予報、朝の冷え込みも強くなくいい釣り日和になりそうだった。


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 ゆっくり宿を出て昨日退渓したポイントからさらにすこし上がったところから川に下りた。ゆっくりといってもまだ10時前だった。前日の感触ではニンフを流しても期待するような反応はありそうになかったのでダメもとで最初からドライフライを結んだ。ヒットフライはカワゲラアダルトだがこのフライは流れの穏やかなプールでなら活躍するが瀬をたたいていくような釣りには向かない。サイズが♯20と小型なのとハックルを巻いていないので浮力がない。見えないし浮かないのだ、仕方がないのでメイフライイマージャーを結んだ。ここぞというようなプールではカワゲラに結び替えたのだがどちらにしてもまったく反応がなかった。 


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 午後になっても虫っ気も感じられず、腹もすいたのでいったん車に戻ることにした。きのう釣れ始めた堰堤の上から再入渓したところで今回はコンビニおにぎりのランチ。おにぎりをほおばりながらポイントをながめているとパシャっと飛沫が上がるのが見えた。エ?と目を凝らすとまたパシャっときた、それも上流下流でほぼ同時に。魚は小さそうだったがとにかくライズだ。だが、ここで慌てて食べかけのおにぎりを放り出して、というようなことはしない。ライズを眺めながらゆっくりとふたつのおにぎりを食べ、コーヒーを飲んだ。

 そして悠々とライズに対峙したのだが、フライを浮かべたとたんにライズどころか浮いていたヤマメまでどこかに消えてしまった。しまった余裕こきすぎたかと思ったが、ここはきのうさんざんフライを流してヒットも得たポイントなのだ。一晩たってリセットされているだろうと思ったのだがヤマメたちは意外とナーバスだった。

 このポイントは見切って上流に向かったがどのポイントも沈黙したままだ。成魚放流されている川ではないからもともと魚影が濃いわけではない。やはり昨日の今日ではまだ難しいかとボウズも覚悟だなとなかばあきらめながらロッドを振る。


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 ここも昨日釣っている大岩にはさまれた深場、やっと待望の飛沫が上がった。


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 しかも連続して2匹のヒット。いやー、ボウズを逃れただけじゃなく続けてきてくれるとは釣りはこれだからやめられない。


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 退渓時間が気になって今度こそ最後のポイントだと決めた岩盤の流れが大岩にぶつかる直前で飛び出した。


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 これもかわいいヤマメだったがサイズじゃない。最後まで楽しませてくれたヤマメたちに感謝だった。2日とも釣りになったのは午後になってからだったが、これが解禁当初の釣りなのだろう。今度来られるのは来月の始めかな、次の釣行がまた楽しみだ。





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この記事へのコメント
こんにちは はじめまして

この時期これだけ釣れればご満悦ですネ(笑)

やはりフライは楽しい!..と投稿からジワジワ伝わってきて楽しめました(^^)

フライフィッシングに特化したブログ立ち上げたので

暇なときお越し下さいネ(^^)
Posted by kaz13kaz13 at 2020年03月14日 18:52
kaz13さん、こんばんは。
コメントありがとうございます。釣行の感動もいつのことだったかすぐに忘れてしまうのでこうしてブログに残しています。ご覧いただいたみなさんにもその感動が少しでも伝わるなら幸いです。これからもよろしくお願いします。
Posted by wind knotwind knot at 2020年03月14日 22:38
 
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    コメント(2)