2023年04月14日
瀬のヤマメはヤル気いっぱい!

上野村での初キャンプの続き
ヒゲナガの夜をねばっていたフライマンも去って広い河原にはだれもいなくなった。テントの一張りや車中泊の車ぐらいは残るのじゃないかと思っていたのだがまったく静かな夜になった。ビールから日本酒へとすすんだ酒ももう十分になったころさすがにちょっと冷えてきた。熾火になった焚火台を4X4ベースの中に入れ、コンロで湯を沸かし〆にインスタントのみそ汁をすすって体を温めた。
ガソリンランタンとコンロ+熾火でテントの中はポカポカだった。このポカポカに少し油断して厚着をせずに寝袋に潜り込んだら3時過ぎに寒くて目が覚めた。まだ3時だ、あと2時間ちょっと我慢して、と目を閉じたがとても我慢できないくらい寒い。しかたなく起き出してありったけの服を着こんだ。ズボンはもともと裏ボア付きの防寒タイプだったのだが、いったん脱いでトレッキングパンツをはいた上に裏ボアズボンを重ねた。上着は薄手のフリースに厚手のフリースを重ねてさらにウェーディングジャケットを着ようとしたのだがさすがに身動きができなくてあきらめた。
重ね着してからは寒さに震えることもなく安眠できたが河原を走る車の音で目が覚めた。テントの中はもう明かるく時計を見ると5時を過ぎていた。それにしてももう釣りの車?早すぎじゃないの?とテントの外に出てみると離れたところにジムニーともう1台、どうもやっぱり釣りらしい。といってるところにまた1台、いやー、みんな早いねー。
それにしても寒い。テントに戻り、もう明かりは必要ないのだが暖を取るためにランタンに灯を入れた。コンロで湯を沸かすうちにテントの中が温まってくる。
早朝組の釣り人にいいポイントは押さえられてしまったろうから焦っても始まらない、ゆっくりと朝飯を食いコーヒーで一服してテントを出るとちょうど歩いてきたルアーマンと目が合い少し立ち話をした。今朝は3℃しかなくてルアーには反応しないとのこと、予報では5℃だったはずだがどうりで寒いわけだ。
ヴィラの桜はまだまだ見ごろだった。まばゆい陽光に照らされた桜も美しいが、早朝の柔らかい光に包まれた静かな桜が好きだ。間もなく太陽が山の端から顔を出せば一気に気温が上がり、河原が温められると風が強くなる。静寂の美しさを楽しめる時間はそう長くは続かない。
すっかり出遅れてしまったがちょうどうまい具合に下流側のライズポイントが空いたので川に向かった。
早朝から始まっているライズは釣り人の流すフライなどまったくおかいましに続いて川面はにぎやかだ。最初に結んだ♯18のユスリカアダルトは見向きもしてもらえない。やっとくわえてもらえたのは♯22か♯24か、メンディングでわずかに動いたフライに反応した。
釣り始めてからすでに30分ほどたっていた。さっそく口にポンプを差し込ませてもらう。

一見してユスリカのシャックやピューパが多いのは予想どおりだが、よく見ると脱皮途中のピューパやアダルトも混ざっている。ひと際大きいのはオオクマのシャックだろうか。フライのサイズはちょうど一緒に写っている脱皮中の個体と大差ない感じだが存在感がまるで違う。この弱々しくはかない姿をフライで表現しようなんてことはどだい無理な話だよなとため息が出る。
次の1匹を手にするまで1時間以上かかった。その間ライズフォームが変わったり、カワゲラがパタパタやりだしたりする都度フライを替えたりしたがヒットしたのはけっきょくまた♯24のユスリカだった。

今度は中身のあるピューパが多く見える。ガガンボとカワゲラのシャックも目立つがよくよく見るとユスリカのアダルトやらハエ?ブユ?などの羽ものもけっこう食われている。ただし、ユスリカアダルトときたら♯30程度のごく小さい個体だ。全般的には♯24以下で食うかどうかはタイミングの問題か。「食えるものはなんでも食うけど食っちゃいけないヤツはわかるから食わないさ、なんでフライを食ったかって?フンっ、そりゃ魔が差したってやつさ」ヤマメのボヤキが聞こえるようだ。
しばらくねばってもう1匹追加したところで神経戦のようなやりとりにギブアップ。気温も上がってきたのでテントに戻り着込んでいたフリースを脱いで朝のビールを1杯、キャンプの2日目の楽しみは釣りよりこの1杯だったりする。
一休みした後の第2ラウンドは上流と下流のふたつのライズポイントをつなぐ瀬をねらう。上下流の二つのプールはいつも絶えずににライズが続いている。ここのヤマメたちは毎日ひっきりなしにフライを流されルアーをぶち込まれて、そんなものにはびくともしないからライズが途切れるということがない。そしてそれに誘われる釣り人はここから動けなくなる。
だが、二つのプールをつなぐ瀬をねらう人はほとんどいないので今回もがら空きだった。3月中はまだ瀬に入っているヤマメはあまりいないか、いても積極的にフライを追う魚はいなかったのだが、もういいころだろう。
そしてねらいは的中、一見するとプールとちがってライズも魚影も見えないがねらうべき筋さえ見極めればヤマメがガバっと水面を割って♯14のフライに襲いかかる。
ちょっとしたフラットな水面にフライをおきナチュラルに流す。リーダーは全長16~17ftにしてスラックをいれたりティペットを逆U字に置いてナチュラルドリフトさせることを心がける。開けた河原はティペットのコントロールを練習するにも打って付けだ。いくつもの細かい筋が合わさる流れでスレた尺上も誘い出すことができた。
場所を変えた野栗沢出会いの下流は思ったほどの反応を得られなかったがなんとかかわいいのをキャッチ。
一気に上流側プールの上に移動、ここの瀬でも小気味いいヒットを連発、風も強くなってきたのでこれで釣りは終了することにした。朝のライズねらいでは2時間かけて3匹だったが、ねらいを瀬に変更してからは2時間で12匹をキャッチ。ドライフライフィッシングの楽しさを満喫させてもらった。
2日間の上野村、沢のイワナはまだ動き出していなかったが、C&Rの瀬にいるヤマメたちはヤル気いっぱい、すっかり盛期の活性を身につけていた。寒暖差の激しさにはまいったが桜にも間に合って充実したキャンプアンドフィッシングになった。

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Posted by wind knot at 18:50│Comments(0)
│フライフィッシング