長かった腰の痛みも少しずつだが改善はしてきて、解禁には無理をしなければなんとかなりそうになってきた。
そうなるとずっと我慢してきた釣りの虫がうずうず言い始める。もうちょっとだからあと少し辛抱したほうがいいのは自分でもわかってはいるのだが、「でもさあ解禁にいきなりよりはちょっと肩慣らし(腰慣らし)しておいたほうがいいだろ?」と耳元で釣りの虫に囁かれるとそりゃあそうだとついうなずいてしまう。
明日、釣りに行こうと思ってとカミさんに告げると
「まったくちょっと良くなってきたからってすぐなんだから、これでまた痛くなるのはわかってるじゃないの。いい歳してなんであと少し我慢ができないのよ、腰に貼るシップはあっても馬鹿につける薬はないってさ、私は忠告したからね!ハッ!!」
いまどきパワハラとしか思えないような忠告をありがたくいただき、翌朝はカミさんとなるべく目を合わせないようにしたが、冷たい視線が肌に刺さるのをアーとかウーとうめき声でごまかしそそくさと家を出た。
今回も上野村のハコスチ釣り場、プールの上流側から流れを見ていくとどうも魚の姿が見えない。どこいったんだ?と歩いていくとプールの最下流部にごっちゃりたまっていた。昨年の最後におとずれたときは川全体に散らばっていたのだが、どうもオープン当初にもどってしまったような光景だった。
レギュラーサイズのハコスチたちが列をなして定位しているところにときおり大型魚が突っ込んでいくとレギュラーサイズが蜘蛛の子を散らすように四散してすぐ元の列をつくることを繰り返している。
なにをやっているのかはわからないが、まったく動きがないよりはいいのではないかと思いながらフライを結んだ。
腰の養生という暇にまかせて巻いた新作のニンフ。平べったい体形のヒラタ、またはマダラ系を模したつもりでいるが、ほぼワンマテリアルをレジンで成型したお手軽フライだ。
お手軽ではあるがなかなか思ったようには形がつくれなくて巻いてはばらしてやり直しを繰り返した自称労作だった。
時期的にこの手のフライを食ってくるとは思えなかったが、キャストを繰り返していると2度ばかりかすかなあたりがあった。残念ながら、ヒットまでは持ち込めなかったがまったく無視されたわけではない、テストとしてはまあこんなものかなというところだった。
フライをブユに替えてしばらく流したがあたりがこない。さっきのニンフは♯16だったから万がいち大物がかかってもいいようにティペットは5Xを使ったがさすがに♯20のフックに5Xは無理があるかと6Xに替える。するとすぐにあたりが出てレギュラーサイズだが、ファーストヒットとなりとりあえずはホッとする。
最初の魚のストマックは?
採れたのはこのふたつ、ともに3㎜ほどの極小といっていいようなブユとマダラ系のニンフだった。ゴミや消化された残骸などのまったくないきれいな水に食べたばかりと思えるブユとニンフ、結んでいたブユのフライは体長5㎜ほどでこれでも十分に小さかったが現実はさらに厳しい。
キャストを再開するとヒットが連続したが、1匹は手元でフックアウト、もう1匹はレッドバンドの50㎝級だったが上流側の釣り人とクロスしそうなところでラインブレイク。あー、なんだよー、と肩を落とす。
しかしこのフライで間違いはないなとふたたびブユをむすぶ。
レギュラーサイズが続いた。ストマックをとると今度はしっかり出てきた。
メイフライニンフがひとつ入っているがあとは羽化間近いカワゲラだ。スリムでアブドメンが長いのでクロカワゲラだろう。ブユで反応は続いているが食っているのはカワゲラなのか?迷うところだったがもうしばらくブユで様子を見る。
ところがあたりがぱったり出なくなった。やっぱりカワゲラかと、フライをカワゲラニンフに替えるがこちらもさっぱりあたらない。おまけに朝から動き回っていたハコスチたちがこのころになるといつの間にか静かになって群れもこころなしか小さくなっていた。
モーニングタイム終了ってこと?ウーン、やる気のあるやつを探すしかないかと魚を探しながら狙い撃ちをめざす。
メインの流れ脇の沈み石をフライが通過するところでインジケーターがモヤッとわずかに不自然な動きを見せた。一呼吸おいて、というかラインのたるみを回収するのが間に合わなくて、自然に遅合わせになったのが良かったのか、ちょっと慌てたがしっかりとフッキングできた。
石の陰からイヤイヤするように頭を振りながら姿を見せたのはきょう一番のレッドバンドだった。今度は獲りたい、不用意に走らせないようにロッドをためてプレッシャーをかけ続ける。幸いさっき切られた魚のようなダッシュをする気配はみせなかった。
ネットに収まったのは52㎝、腹びれが欠損しているのが残念だが鼻のとがったイケメンだった。
カワゲラニンフでいくつかのパターンを試してみたが、ヒットしたのはアブドメンが黄色っぽいフライだった。ストマックからはなにも出てこなかったので答え合わせはできなかった。カワゲラニンフを食ってきたのは間違いがないが、やっとの1匹だ、流下はほんの一瞬のことだったのか?
その後はめぼしいポイントに空きもなくなってさまよいながらぽつぽつとヒット。
午後2時をまわって空には雲が目立つようになった。腰が限界になる前に無理せず上がることにした。もどる道すがらカワゲラアダルトで水面をチェックしていくと春を待ちきれないのがパシャっときた。
翌日はさぞや腰が悲鳴をあげるだろうと覚悟していたのだが、意外にも痛みはそれほどではなかった。なんだ、やっぱり少し体を慣らしていった方がいいんだ、とまた都合よく考えようとするつける薬もない〇〇だった。
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