本谷・中ノ沢・キャンプ釣行

wind knot

2019年04月20日 20:56






 先週の土曜日に上野村の本谷、中ノ沢の毛ばり釣り専用区がオープンした。待ってましたと水曜と木曜の2日間さっそく出かけてきた。泊りは今シーズン初のキャンプだ。





 1日目は本谷に入るが、まずはいつものようにC&R区によってヤマメのご機嫌をうかがう。ヴィラ裏のヤマメたちははすでに盛んにライズしていた。


 例によって0.15のティペットにストーンフライを結んでキャストするがときおり見に来るヤマメはいるものの基本的にはスルー。今日はカワゲラのハッチはないかと♯24ユスリカアダルトに替えてみると今度は反応はするもののフッキングしない。本気で食おうとしていないのか寸前でよけるのか敵ながら見事なものだ。

 ツンとフライをつつくだけで「なんだバカヤロー」といわんばかりに肩をそびやかすように反転していくヤマメをみていると往年のザ ドリフターズ、荒井 注を思い出しておかしかった。

 なんとか1匹釣ってから気持ちよく本谷に向かいたいと熱くなってキャストを繰り返し、ついに念願のヤマメがヒット。




 
 まずまずのサイズでほっと一息、時計をみるともう9時に近かった。予約制だからあわてることはないのだが、こりゃあちょっと熱くなりすぎたなと一度のばしたラインをリールに巻き取っていった。するとなんと一定のリズムで水中を泳いでくるフライにヤマメが飛びついた。





 思わぬおまけの1匹だ。2匹とも放流のヤマメだとは思うがきれいなヤマメだった。






 予約できたのは本谷、中ノ沢ともに最下流部だった。本谷は7番、中間地点にある駐車場までは行かずに毛ばり専用区のスタート地点に車を止めて入渓する。





 入渓してすぐ魚影は確認できたがあっという間にヒット、とはいかない。写真でもわかるかと思うが石には青い藻が繁茂していてどうにものっけから釣りづらかった。肩ぎりぎりまでフライを流そうとするとすぐにティペットが藻に絡んでしまう。メンディングで肩口の石をよけるとかティペットを最初から曲げて落とすとか、けっこうややこしいことをしなければならない。





 石裏にフライを落とすと反転する魚影が見えて最初のヒット。





 真っ黒なイワナだった。ロッドは前回の記事で紹介したお手製の♯2、7’6” Windknot tight line 2 だ。tight line 2 ってことは 1 があるのかといわれそうだが、これは #2 ラインの 2 なので1 はない。#1-2 のロッドだからこのサイズの渓魚でもよく曲がってくれて楽しい。





 ゆるい流れのプール、瀬尻に魚が付いているが、水深のない瀬尻にいる魚をねらうのはほんとうに難しい。ほとんどが走られて終わりだが、ここにいたヤマメはフライをチラ見しただけで悠然と定位していた。仕方がないので歩を進めれば、向こうは当然ながら走ってしまう。これで瀬の半分より下は釣りにならない。気を取り直して上の流心周りにねらいを移す。





 魚影が濃ければ下で走られても上のほうにいる魚は出てくれる。





 もう少し上の流心でガバっとやっといいサイズがきてくれた。1匹目の尺ヤマメ。ロッドは満月を描いてくれた。





 大きくはないがひれピンのヤマメも釣れた。このヤマメのピンととがった胸鰭はまるでべっこう細工のようだ。

 7区の終点が近づいてランチタイム。その後はそのまま6区へと釣り上がる。6区はなぜか午前中の7区よりも反応が良かった。





 護岸の流れが左岸の岩盤にぶち当たる曲流部で大物がはでにライズを繰り返していた。それも1匹だけではない。ちょっと心拍数が跳ね上がるような光景を前に、焦るなよー、と自分に言い聞かせる。本命は右側の水色が濃くなったあたりだが、その手前左の苔むした岩の先あたりにもいいのがいそうだった。
 
 手前側でライズしていたヤマメをまず1匹かけた。9寸弱のヤマメ、本命じゃない。ラインを右奥へと少しずつ伸ばしていく。





 つんと鼻先を出してゆっくりとフライをくわえてくれた、この日2匹目の尺ヤマメ。





 さらにその奥の本命ポイントから3匹目の尺が続いた。どうしてもネットの上では写真を撮られたくないと嫌がって落ち葉の上でようやくおとなしくなった。

 このポイントまだ大物がいたのだが、この後は警戒してしまってフライを追おうとはしなくなった。

 ヤマメは大小取り混ぜてよく釣れたがイワナは最初に釣れた1匹だけだった。なんとかもう1匹と頑張ってみたが願いはかなわず3時を回ったところで退渓、ヴィラ裏の河原へ向かった。

 今シーズン初めてのキャンプ、テントを設営してヴィラの温泉に浸かってあとはビールと焚火。極楽の夜が更けていった。 









 1日目は曇り空だったが2日目の朝は快晴、満開のしだれ桜は朝の柔らかな光に静かに染まって美しかった。解禁当初のような冷え込みもなく、桜を眺めながらのぜいたくなキャンプが楽しめた。ヴィラ裏の河原ではキャンプや車中泊を楽しむ人も多いが節度をもってごみなどはきちんと持ち帰るようにしたい。

 となり、といっても30Mほど離れた場所で車中泊をしていた人としばらく話をした。鮎がメインで渓流釣りもするが今回は星を見に来たのだとか。昨晩は残念ながらの曇り空で星は見えなかったがこの桜を眺めて温泉に浸かるのもまたよしだと笑っていた。

 そのあとこの人が見守る中、ロッドを振った。なんとか1匹釣れればとキャストを繰り返してやっと食わせたヤマメ。





 「自分が釣ったみたいにうれしい」という彼と顔を見合わせて笑った。





 せっかくだからとストマックを取ってみた。メイフライとユスリカのシャックが出てきた。
 「抜け殻ですよ」「シャックってやつだね」「そう、こんなの食ってるんだよね」






 2日目の中ノ沢も一番下流のG区に入渓した。前日の本谷は平水かな、という水量だったが中ノ沢は明らかに水が少なかった。スタートの堰堤上の平瀬は釣りになりそうになかった。入渓点の深場にヤマメが溜まっているがすでにすれているのかフライに対する反応は良くなかった。











 本谷では藻にフライを引っ掛けて難儀したが、渇水の中ノ沢では何度も落ち葉や枯れ枝にフライを引っ掛けてはからんだティペットをはずすのに時間がかかった。なかなか釣りのリズムがつかめないまま進んでいくとあっという間にG区の終点に着いてしまった。まだ12時前だった。13時にならないと次の区間には入れないので長いランチタイムを取った。





ランチタイムに入る少し前に通った場所。遡行していくと真ん中の白石の向こうにやたらと大きな魚影が沈んでいるのを見つけた。写真は岸寄りに移動してから撮ったもので、私は左手、下流から川を歩いてきた。なんだアレ、ニジマス?かと思った。まるで鯉のように厚みのある背中は暗褐色で斑紋の類は見えない。ちらりと見えた体側はかすかに赤みを帯びているように感じた。ニジマスは放流してるはずないが下から上ってきたのか?

 考えてみればこの専用区は堰堤で終わっている。魚が上がってくるはずはないのだが、このときはひょっとしたら・・・と思っていた。何度かフライを流してみたがまるで関心をしめさない。さてどうしたものかと視線をはずし、また戻した時には魚影は消えていた。

 今から考えればあれがニジマスだった可能性は低いように思える。もちろん幼魚のときにヤマメの放流に紛れたものが大きくなった可能性はないとは言えないが、あの体色と体形からするとイワナだったと考えるほうが自然なようだ。白斑が見えなかったのでなんとなくイワナではないように感じたのだが白斑が消えてしまったイワナは珍しいものでもないだろう。優に40㎝は越えていたと思えるその魚とは勝負に持ち込むこともできなかったが、ちょっと釣りのロマンを感じさせてくれる出会いではあった。


 13時少し前だがもういいだろうと腰をあげてF区に入ると先に入っている人がいた。あれ、もう入ってたの?と思ったら慌てて斜面をあがっていった。13時をまてずに先に入っていたのでバツが悪かったのかもしれない。なに、私だってすこしフライング気味だったのだが後から追いかけられると、気まずかったのだろう。





 私の釣りのほうは相かわらずパッとしなかった。手前のゆるい瀬にヤマメがたくさん沈んでいたが、水面にはまるで興味を示してくれなかった。今日はだめだなと思いつつ右の大石の影にフライを投げた。ちょっとショートだな、もっと石ぎりぎりをタイトに攻めないと、と思ったが石影からすっと魚がよってきてためらいもせずにフライをパクリ。





 あれ、すなおなヤマメもいるもんだ、と驚いたら寄ってきたのはこの日はじめてのイワナだった。


 2日間の釣りだったが、ダムの放水で水量の安定している本谷に比べると中ノ沢はだいぶ渇水の状況で厳しかった。もちろん日によっても違うのだろうがまとまった雨がほしいところだ。







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