エクステンドダンのタイイング

wind knot

2018年03月11日 11:35







 エクステンドダンのタイイングの続き、前回作ったエクステンドボディを使ってメイフライダンを巻いてみる。初心者の方にも分かりやすいようにタイイングのポイントなどをけっこう細かく書いているので、ベテランの方は適当に飛ばしていただきたい。





 フックはバリバスの2300#20を使う。4X Fine のウルトラミッジという軽量のフック、中空ボディと軽量フックの組み合わせによる軽量化で浮力をかせぎ、ハックルの量などは極力少なくしたい。羽化したばかりのダンのはかなげな水面への接し方を軽いフライで表現したいのだ。




 
 フックをバイスに固定したら、まずボディのサイズとフックのバランスを確認しておく。ボディは必要な長さを残してカットしてしまうので、カットすべき位置をここで決めておく。この写真で見るとおり半透明のフィルムで作った中空のボディは光を通す性質があってこれもこのボディの特徴のひとつだと思っている。





 ボディを斜めにカットして、カットした切り口の下側に1mm程度のごく小さな切込みを入れておく。この切り込みにフックベンド後端を差し込むようにするとボディをフックに固定させやすい。取り付け位置は写真を参考にしていただきたい。





 フックに下巻きをしておく。ボディの巻き始目となる位置にスレッドを垂らしておく。




 ボディを取り付ける。スレッドの回転方向にボディがねじれやすいので、ボディの下側にも2、3回スレッドを通しておくと安定する。全体に段差ができないようにスレッドでならしておく。





 ポストの取り付け、ポストはADWを使用する。ほっそりとしたエクステンドボディのメリットを生かすため今回もハックルスタッカーで巻く。そのためポストの取り付け位置は通常のパラシュートよりもかなり後ろになる。ADWは1/2束を使用、この取り付け方だと折って立ちあげたときに1束分となる。





 ポストを立ち上げハックルの巻きしろを作る。その前にスレッドにタイイングワックスを少量塗っておく。





 ポストの巻きしろ処理。ADWの量が少ないのでスレッドを巻くときにADWが逃げやすいが、ワックスを塗ることで巻きやすくなる。巻きしろにするスレッドは一重で十分、何重にも巻いて固くしてしまうとあとでポストを倒せなくなるので注意。





 ハックルは4、5回転させる。巻きとめ部のファイバーはストークから取り除いておく。以前はハサミでハックルファイバーをカットしていたが小型のフライだとストークに残ったファイバーでポストの根元が太くなりがちなので今は指でむしってしまう。ハックルの回転方向側のファイバーを数本多めにむしっておくとまき始めのハックルの"あばれ"を軽減できる。





 フックシャンクにハックルを取り付ける。私のつけ方はポストの前側のシャンクに斜めに取り付ける方法。スレッドは2、3回転で巻きとめる。ハックルの表が上を向くように取り付ける。





 ハックルをポストに沿うように立ち上げ、ポストとハックルをスレッドで固定する。このときスレッドは密に巻かず上に2、3回転、下にも2、3回転でポストの根元に戻す。とにかくポストを固くしてしまうと後の処理ができないのでポストはできるだけ柔らかくしておく。ハックルは裏側が表を向くように固定されているか確認しておく。ここでハックルがよじれていたりするとうまくハックリングできないので注意。





 ソラックスを巻くためのダビング材をスレッドに寄り付ける。ここではスーパーファインダビングを使用。





 ポストの後ろ側を巻いたら前側にも2回転ほど巻いておく。ハックルを巻き始める前にハックルを下に向けて折って癖をつけておく。




 
 ハックルは5回転をめどに上から下へ向けて巻き下ろす。あまったハックルの上側にスレッドを3回転、下側は2回転で巻き止める。





 ハックルのあまりをカットして、スレッドはポストの後ろ側に垂らしておく。ここまででパラシュートパターンが完成。





 バイスにロータリー機能が付いていれば、バイスを回転させ、ハックルの前側中央のファイバーを真上から数本カットしておく。





 バイスを元に戻して、先ほどカットしておいたハックルの割れ目からハックルを左右に分け、ポストとともに後方に撫で付けながら左手でしっかり保持する。





 スレッドをポストの前側に持ってきてダビング材の終わるところで2回転させる。





 ポストだけ離して根元にスレッドを2回転させる。





 再びポストを後方に寝かして保持し、そのままスレッドをゆっくりと引き絞る。





ポストを倒しながらフックシャンクに接するところまで来たらスレッドを数回転させて固定する。このときにポストが固くなっているとうまく前に倒れてこない。無理に引き絞るとスレッドが切れたり、今回のように4X Fineなどと細いフックの場合はフックが折れてしまうこともあるのでこの作業はゆっくりと慎重に行う。





 ポストの根元にスレッドを10回転ほどさせてしっかり固定し、ポストを立ち上がらせる。





 ポストの前側に巻くダビング材をスレッドに寄り付ける。





 ポストがやや後方に斜めになるくらいの要領でポストを押し付けるようにソラックス前部を整形しウイップフィニッシュ、ポストをカットして完成。





 上から見たところ。ハックルは半円形に広がっている。





 正面から見てもハックルは半円形。水面に接するのは左右に広がった数本のファイバーだけで、この数本のファイバーがフライの着水姿勢を保ってくれる。検証編でもみたようにパラシュートハックルとはまったく別のローインパクトなライトパターンを表現するフライだ。
 このフライの出番は解禁当初の比較的穏やかな流れで羽化したてのダンがポコッと浮いているような状況を想定している。すでにフィッシングプレッシャーは相当にかかっていて並みのパラシュートはもちろんCDCも見切るような場合でもナチュラルな流下姿勢でトラウトを誘ってくれるフライ。





 今回巻いたのは手前のフライで全長11㎜ほど、このサイズのメイフライダンはけっこう種類が多いのではないかと思う。後ろのフライはフィルムを巻く前に針にダビング材を仕込んでボディを太らせたもの。長さも長めにして一回り大型のフライにした、体長は15mmほどになった。普通のフライだとこれだけサイズアップするにはフックサイズも当然大型化して重くもなるのだが、このふたつのフライはどちらも#20のウルトラミッジフックに巻いている。大き目のフライが軽く作れるということは盛期の山岳渓流などでも活躍の場があるのではないかと期待している。






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