群馬の渓流釣り納め

wind knot

2017年09月17日 11:30







夏以降は天候不順でパッとしなかった今シーズン、あっという間に最終盤を迎えてしまった。おまけに今週末は台風の影響でせっかくの3連休にがっかりしている方も多いのではないかと思う。そんなわけでちょっと早いが通いなれた群馬の渓に最終釣行へと行ってきた。

今回は6月中旬以来のイワナの渓とヤマメの渓との連荘。シーズン中盤までなら車中泊やらキャンプ釣行と張り切っていたが、夏の疲れも溜まった今日この頃、なんとなく重い体をよっこらしょと持ち上げて旅館泊まりの釣行となった。


1日目はイワナの渓。およそ3ヶ月ぶりに走る林道はずいぶんと荒れていてこの夏が残した雨の爪あとを知らされることとなった。





車を置いてしばらく歩く。入渓ポイントの直前で斜面が崩落、倒れた木が林道をふさいでいるのに唖然としたが、よく見ると木の下がトンネルになっていてしかも道はきれいにならされていた。人が通ることもめったにないような山奥の林道を整備してくれる人がいるということに半ば驚き、頭が下がる思いがした。





川はどうなっているのかと心細くなったが降りてみればそこはいつもと変わらぬ流れが迎えてくれた。林道の荒れようが嘘のような穏やかな流れに気持は癒されたがイワナの気配はない。実は入渓してすぐの流れに定位するイワナの姿をみつけてドキドキしながらロッドを振ってみたもののそれは期待が仕立て上げた底石の幻にすぎなかった。3ヶ月のあいだご無沙汰していた間に叩かれてきた小渓のイワナたちがそうかんたんに姿を見せてくれるわけがなかった。





小さなイワナがフライをつつくのを何度かやり過ごしたあと、ピチャッと跳ねたしぶきととともに飛んできたのはこれまで釣った中でもおそらく最小サイズのイワナだった。





釣りはじめてすでに1時間半が過ぎていた。やっぱり今日はダメかと肩を落としつつ足を進める。





チビイワナの洗礼から10分後、落ち込み脇の反転流でフライが吸い込まれた。





18cmほどのイワナだが、やっと釣れた貴重な1匹にほっと胸をなでおろした。

その後また極小のイワナがかかって渓はふたたび沈黙、40分もたったころ





小さな落ち込みの石の影に潜んでいた。





ネットですくうほどのサイズではないが今回は最終釣行だし、大事に写真を撮りたくてネットイン。白点が細かい典型的なニッコウイワナ、今日はもうだめかとも思っていただけにこうしてイワナに出会えるだけでただうれしい。





そして木漏れ日が川を輝かせるこんな素敵な流れで





かわいいけれどぷっくりと太ったイワナがフライをくわえてくれた。

森の中はまだまだ緑に囲まれているが新緑のころの芳しい香りとは異なってすこしばかりかび臭いようなにおいに包まれている。去年の秋に積もった落ち葉は何度かの出水にとうに流されたはずだがそこここに流されずにたまっている古い落ち葉は雨水をたくわえながら朽ちてゆく。森の香りと木々のすき間から落ちてくる光を浴びて掌のイワナがまぶしさを嫌がるように体をふるわせた。





この流れがすぼまるポイントでグッドサイズがふわっと浮き上がった。残念ながらフライを見に来たのは一度だけだったが9寸近くありそうな魚影に脈拍が跳ね上がった。イワナはフライに触れていなければ何度か出るチャンスはあるというものの禁漁間際のこの時期、チャンスはいつも一度だけだ。






昨年のシーズン後、低山歩きの際につくるようになったパスタのランチ、今シーズンの渓流ではすっかりおなじみになった。コンビニのオニギリやパンでは味気ないがカップヌードルはかさ張るし夏場は暑くていただけない。そこへいくとパスタはかるくてかさも張らないし夏でもうまい。


















ランチのあともなんとかがんばって3匹のイワナに出会えた。どれも20cmあるかどうかというサイズだがこの川は雰囲気が好きで何度か通っているところ。暗いV字の谷底というわけではなくて源流ながら開放感のある渓はとにかく気持がいい。今回も貧果は承知で訪れただけにこれだけ釣れれば充分だった。





2日目は一転してヤマメの渓。車を止めて少し林道を歩く。





空は快晴で朝日が道に落とす光と影のコントラストが久々に夏の渓流に向かうような気にさせてくれた。





えん堤の上から入渓すると夏のようだと思った空の色はやはり秋の深さをたたえていた。乾いた風の心地よさはもうここにいるだけで最高の気分だった。しかしこの開けた渓相、前日のイワナ釣り以上に厳しい釣行となるのは覚悟していた。

ところがロッドを振り始めてすぐに魚からのコンタクトがあって驚いた。なにしろ写真にあるようななんでもない平瀬で反応があったのだ。え、ヤマメいるんだ、とばかりなにやら半信半疑で釣りあがっていく。





しばらくいくと出会うプール、こういうところは瀬尻にいる魚に走られて終わりというパターンに陥りがちだがここは左からの流れが右の岩盤にぶつかって急に流れを変えるため、落ち込みから岩盤沿いにかけてヤマメがけっこう着いている場所だ。
そしてここでも良型がフライを追うのが見えた。残念ながらフライをつついただけで終わってしまったが、がぜんやる気が満ちてくる。
少しずつ上流にポイントを移しながらていねいにねらっていく。最後のぶっつけの流れで落ち込みからフライを追うのがはっきり見えた。
会心のヒットだったが、20cm弱のヤマメは撮影前にネットから逃走していった。





少し上がったところのここもいかにもヤマメがいそうな長い瀬、前回この渓を訪れたときは先行者がいてこのあたりは釣ることができなかった。今回は先行者もなく、ゆっくりと攻めることができた。





そしてこの日2匹目のヤマメ、18cmほどだが見事に体高のあるプリプリにしてヒレピンのヤマメ。夏の終わりと秋の始まりの狭間の青空の下でこんなヤマメに出会えればもういうことはない。









もう少し水深があったらいい産卵床になりそうな砂礫の底の向こう側、茶色い沈み石の上で出た。





これも太ったヤマメ。





さらにヒットが続いた。





静かに流れるプール、シーズン初期でもなければすぐに走られてしまいそうなポイントだがこの日はここでもヤマメが相手をしてくれた。





22cmのヤマメ、この日のベストサイズだった。





ここはいけるだろうという流芯でしぶきがあがった。






やがて流れは瀬が少なくなり大岩の間を落差を増した落ち込みが連続するようになった。





イワナならいいポイントだが、この渓ではイワナの姿は見たことがない。時間もちょうど1時をすぎたところでロッドをたたむことにした。







夏以降は訪れる機会のなかったイワナとヤマメの2川を釣り歩いた2日間だった。2日とも苦戦を想像していたが、思ったよりも渓魚の反応が得られて楽しい最終釣行となった。今月いっぱいはまだ釣りのできる渓もある。できれば秋空の下であと何度かロッドを振ることができればと思う。






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