前回のブログアップからだいぶ間が空いてしまった。この間、釣りには一度いったきりでそれもチビヤマメ1匹という散々な釣果だったため、アップする気にもなれなかった。また、学生時代の仲間との年に一度のBBQ合宿?などもあったりして釣りはお預けという状態だった。
そしてひさしぶりの釣行が今回の野呂川釣行。河川名は載せないことにしているこのブログだが今回の野呂川はキャッチアンドリリースの指定もある有名河川であるし、ネットに公開されているいろいろな記事をみても名前をオープンにされていることが多いのでそれに倣うことにした。また、ここには行ってみようかといってすぐに出かけられるような場所でもなくて、なにしろ埼玉の我が家からは車で2時間以上、さらにバスに乗り換えて1時間、そこから歩いて2時間半、合計すると6時間以上も時間をかけなければたどりつけないときているから、釣行にもちょっとした覚悟がいる。
有名河川と書いたが、実は昨年の里見スクールの参加者から教えてもらうまでは野呂川のことは知らなかった。自宅からのアクセスのよい群馬県の河川へ行くことが多いので、これまであまり山梨県の川へいったことがないということもある。ついでにいうと山梨県の河川というと中央道を使うことになるが私はカーブの多い中央道が苦手だ。そこへいくと慣れているせいもあるかもしれないが、関越道は急なカーブがほとんどなくて走りやすい。
教えてもらった人によると野呂川の奥に両俣小屋という山小屋があり、その前の流れが開けた穏やかな美しい流れでイワナがそこそこに釣れるという。それから色々と調べてみて、ぜひ一度は行って見たいと思うようになり、釣りの装備一式を背負って歩くために50Lのザックを購入したり秋の間に秩父の低山に登ったりして準備をしてきた。そしてやっと実行した今回の釣行。丸1日はゆっくり釣りができるようにと7月11日から2泊3日の計画を立てた。
バスを降りてから両俣小屋までは距離にして約8.6km、標高差は200mほどだがアップダウンが多く上りの累積標高は800mを越える。秋に上った山はだいたい累積標高で600から900mくらいだったから問題なく歩けるはずだがウエーディングシューズとウエーダーを中心とした釣りの装備がけっこう重くてかさばる。日帰りの低山歩きとはすこしばかり背負う荷物が違ってくる。実際、バスに乗り合わせた登山の人たちは私よりもずっと小型のザックを背負っていた。
朝4時過ぎに家を出発しほぼ予定通りに南アルプスの玄関口、芦安の無料駐車場に着いた。ここからバス(今回は乗り合いタクシーを利用)に乗って中継点の広河原に向かう。
南アルプス登山の入り口となる山岳観光案内所にはこんなチラシも貼りだしてあった。
いろいろと調べたつもりだったが実はめざす渓がC&Rエリアになっていたのは知らなかった。これは帰ってから調べてわかったのだが普通の”C&Rが釣人のため”に設定されているのとは異なり、
絶滅危惧種であるヤマトイワナ保護のために設定されたものであるようだった。
さらにはこんなものも貼られていた。
クマ・クマ・クマ とわざわざ赤字で書かれているが10日ほどの間に6回もの目撃情報、さすがにちょっと恐ろしい。
さて、バスを2本乗り継いだ野呂川出会いのバス停では5、6人の釣人が降りたが両俣小屋へ向かったのは私ひとりだった。
林道の入り口にちょうど両俣小屋のスタッフの青年がいた。ここから2時間半、危険なところはないからのんびり歩いてください、と声をかけてくれた。
林道は最初だけこんな木陰のある涼しげな道だったがすぐに
こんな陽射しをよけるもののない道に変わった。1800mを越える高所だから空気は乾いて涼しく気持がいいが照りつける太陽が暑い。
しかし澄み切った青空の下をゆっくりと歩いていくとクマの恐ろしさもこれからの釣りのことさえも忘れて空の青さに吸い込まれていくような気持になった。
眼下にはときおり野呂川の流れが姿を現す。
山の急斜面を流れ落ちる清冽な沢。岩の間から染み出すように流れる清水が随所にあって手ですくって飲んでみると驚くほどに冷たかった。
この沢が大仙丈沢でその向こうに見えるのは仙丈ヶ岳か
スマホのアプリで自分がどこにいて見えている山がなんという名前なのかもすぐにわかる。便利な世の中だ。
素晴らしい景色を堪能できて二カッと笑う。
山も川もこれ以上のものはないというくらいに美しかった。
両俣小屋まであと2kmほどのところに川への降り口があった。そういえば歩き始めてからここまで野呂川は常にはるかな谷底を流れていて降り口らしきものには出会うことがなかった。見かけはしなかったが、この谷底で釣人を見ることもあるらしい。いったいどうやって降りるのだろう。
林道の入り口で会った青年の車があった。
そして両俣小屋まであと1kmの案内、もう少しだ。
あれほどはるか眼下を流れていた野呂川の河畔に降りてきた。開けて明るい川は川底まで青く透き通った水を満たしていた。
両俣小屋が見えた。ここまで2時間半のコースということだったが、随所で目を瞠る景色に何度も立ち止まってはカメラのシャッターを押していたためか20分ほどオーバーしての到着だった。
小屋番のHさんにとりあえず一泊分の料金を払いついでにビールを、というと
これから釣りするんでしょ、水でがまんしときなさい、とたしなめられた。ぐうの音も出ないとはこのことか。
ビールはあきらめてコンビニオニギリで腹を満たし、さっそく釣りを始めた。小屋のすぐ前の流れで釣れるとのことなのでここからスタートする。
すぐに1匹目がかかった。
26cmの良型ヤマトだ。
そのあとも小ぶりながらヤマトイワナが続いた。
2匹続けて今度はニッコウ?
スタッフの青年によるとこのあたりは100%ヤマトだという調査結果が出て、そのためにC&Rになったのだそうだ。ヤマトイワナは幼魚期は白点があっても成長するにしたがって白点が薄くなっていくともいわれるようだが、これはどうみてもニッコウイワナだろう。
たしかに小型の魚は白点がよりはっきりしているように見える。だが先の2匹のニッコウらしきイワナとは個体差というにはあまりにも異なる。
ヤマトイワナ100%の川というのは心をくすぐるような言葉だが現実はそう甘くないのかもしれない。
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