神流川ではいいサイズのヤマメに遊んでもらいながら、やっぱりヒレピンに会いたくて今ごろはまだ人があまり入らないんじゃないかと思える川に行ってみた。
はじめて釣りをする川で勝手がわからないが標高700mほどの場所。合流している本流にはヤマメが放流されているので餌釣りの人たちはたぶんそちらにいるはず。もっとも人もいないがヤマメもいない、ということもあるわけでとにかく釣ってみなければわからない。
開けた川でロッドは振りやすい、水はかなりの渇水と思えた。
気温4℃、水温4.6℃でドライフライでは厳しいかなと思いつつもまずは#18のメイフライを結ぶ。
スタートして10分ほど
こんな流れでピシャッと飛まつがあがった。
かわいいヒレピン、ちょっと小さすぎだが、まずはドライフライにも反応することがわかってほっとする1匹だった。
ドライで通用するか?という疑問は杞憂だったようで反応は良好だった。
少しサイズアップ。
ここではさらにいいサイズと思えるのが出たがフッキングしなかった。
それでもドライフライにライズしてくるヤマメがいて、だんだんサイズもよくなる予感がするとなればこれは楽しい。
ヤマメたちは素直な流れから元気よく飛び出してきた。
どれも15cmほどで申し分なくきれいなヤマメだが、欲をいえばもう少しサイズがほしい。
ちょっとした流れの複雑なところから
今度はネットにいれてもいいかな、と思うようなヤマメが来てくれた。
といってもこのサイズだけれど、胸ビレの先がピンととがっている。
今度はサイズダウン。
いかにもヤマメ好みの直線的な流れ
続けて出たが、残念、またもかわいいヤマメたち。
ゆるい反転流
今度はサイズアップ。だんだんサイズアップとはなかなかいかない。いったりきたりを繰り返す。
ここまでで8匹の釣果、ツ抜けも見えてきた。腹も空いてきたのでいちど川をあがり車で上流に移動することにした。
しばらく車を走らせると開けた駐車スペースが現れたので車を止めて昼食をとる。
休憩後、川に下りる。ふたたびロッドを振り始めるが、まったく当たりがない。
さきほどの場所から距離にして1.5km、標高差は80mほどだが、晴れていた空は雲に覆われて気温も下がっているようだ。この上流部には早めに見切りをつけてきた道をもどる。
1kmほどもどって再入渓、すぐに次のヤマメがライズした。
やはり場所なんだろうか。ただ反応が連続ということはなくてヤマメからのコンタクトは間遠になってきた。
イワナでも出てきそうなところから
少しまともなサイズ、これでツ抜けも達成。
なんだか寒いな、と思ったら白いものがちらつき始めた。
まだ写真には写らないくらいの小雪だが
ものの5分ほどで吹雪のような降りになってしまった。こうなるとフライは見えないし、雪に触れたフライはすぐに沈んでしまう。
車にもどって様子をみるかと途方にくれていると、さいわい15分ほどで雪は小降りになった。
一時はどうなることかと思ったが、ほっと胸をなでおろした。
とはいえ、急激な気温低下と雪に見舞われてとくれば表面水温も当然さがってヤマメの反応はさらに渋くなる。
時間も3時をまわりそろそろ引けどきかというころ、やっと水面が割れた。
ころっと太ったいいヤマメだ、この1匹で気がすんだ、とはならず、さらに次のヤマメを求めて渓を進む。退渓のタイミングというものはこうしてどんどん先へと動いていく。
大きな岩に身を隠してキャスト。フライが岩に隠れて見えなくなるギリギリのところでライズ。
先ほどのころっとしたヤマメとは対照的なシャープな魚体。
行く手に堰堤が現れて、こんどこそここを最後のポイント。
まずは左の水面でしばらく浮かべていたフライに鼻先がニュッと突き出す。
いいヤマメだが、大場所だからね、まだいけるだろう。
真ん中の白泡の切れ目で茶色いヤマメの背中が浮かび上がった。
間違いなく今日いちばんのヤマメだった。ロッドの曲がりを十分に味わいながら慎重にネットイン。
やっとネットとのバランスがとれるヤマメが釣れた。
錆びの残る魚体、このサイズもまだまだいるはずだが、活発に餌を追うには少し早い、このヤマメはよく出てきてくれた。
最後に右側でフライを吸い込まれた。
これも6寸ほどでまだ真っ黒な体色。瀬に出ているヤマメに比べ、この堰堤で釣れたヤマメはいづれも黒ずんだ体色をしているのが印象的だった。
実は今回の釣行も1泊2日、ぜいたくだ、といわれそうだが待ち望んだ解禁の釣り、少しばかりぜいたくをしても・・・・
一度は収まったかにみえた雪がまた降り始めて、この日は夜になってもちらほらと舞い続けていた。積もるということはないだろうが、明日はどうなるのか・・・
翌朝、明るくなるのを待って一風呂浴びてベランダに出てタバコを吸った。2本のタバコを吸い終わるころにはせっかく暖まったからだは冷え切って、指先の感覚がなくなった。
雪は宵のうちに止んでいたようで、空は青く澄んでいる。どうやら放射冷却で空気は冷え切っているようだ。おまけに昨日より風が強い。
それでも前回の上野村の2日目のような強風というわけではなく、風が凪いだときは陽光が暖かく寒さもそれほど気にならない。
この日は昨日釣った支流より上の支流、何度か訪ねたことのあるヤマメとイワナの混生の川へ向かった。
車に積んでいたウエーダーもウエイディングシューズもバリバリに凍っていた。シューズは2足持ってきていたし、ウエーダーは裏返しておいたので、内側にこもった湿気が凍りつくこともなく、履くときにはつめてー、となったが問題なく履くことができた。
写真で見るとポカポカと暖かそうにも見えるが、実際は震える寒さ。時間もまだ9時台で渓は静まり返っていた。
昨日の川もそうだったが底石が茶色く苔で覆われていてよくすべる。おまけにこの川は氷に覆われた石も目立つ。
すぐに堰堤に突き当たる。容易に巻いて上にいけるのだが、ここまでまったく反応もなく、巻く気にはなれずに引き返した。
やはり昨日の川かと車を飛ばす。状況からいって昨日より下のほうがいいかもしれないとだいぶ下流部に入ってみた。
しかし、反応のかけらも走る魚影のひとつもない。しばらく我慢して遡行を続けたが、どうにもならずに川から上がる。
昨日は釣らずに中抜けとなっていた区間に入った。ここならいけるだろうと期待は高まる。入ってそうそうに反応もあった。
瀬尻や脇のほとんど流れのないところに魚影が見えたが、そうした魚たちはこちらの気配を察すると一目散に走ってしまう。
風は昨日より強めだがキャストしづらいというほどではない。陽も高くなって空気は冷たいが体感的にはそれほど寒いとはいえない。水温も昨日とさほど変わらない4℃台だ。
きっといけるはずと思って川を遡るが状況が好転することはなかった。緊張感が保てなくなって、後ろの枝にフライを取られロストが重なった。
なんとか1匹でもとここまで来たが、退渓することに決めた。
車にもどると4リットルのペットボトルに入れた水が1/4のほど凍っていた。やはり昨日よりもかなり寒かったのだ。なんとなく体感的にはそうでもないと感じていたのは昨日がよかったからなのだと思う。後半で吹雪のような雪が降りながらも釣れたのだから今日もいけるはずだ、という期待。
ほんとうは最初からニンフで攻めるような状況だったのだろうが、前日の好調の記憶に引きずられた。
釣りは一期一会、昨日の好釣が今日につながるとはいえない、ということをあらためて思い知らされるまさかのボウズになってしまった。
帰りの道の駅で買ってきたふきのとうとたらの芽をカミサンにてんぷらにしてもらった。
ブログを書きながら、春の香りのてんぷらを味わい、楽しくまた難しかった今釣行の余韻に浸っている。
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