丹沢ホームでナンテコッタ!

wind knot

2019年10月11日 14:43






 台風19号だそうで、明日はどうもまた首都圏の交通はほとんど停止状態になるらしい。私の住む地域は水が出ることもないし、風も内陸のためこれまでは恐怖を感じるようなこともなかった。今回もそうだとはいえないが、特に沿岸部に住んでいる方は早めの避難とかくれぐれも用心していただきたい。
 そんな中ではあるが10月9日、10日の2日間丹沢ホームに出かけてきた。台風の大雨で来週は釣りもできないだろうと思い、2週続けての管釣り釣行になった。

 自宅から丹沢ホームへは圏央道を使って相模原ICで下りればあとは26Kmほどの距離であっという間だ。だが最後の10Kmは限界的に狭い山道をヒヤヒヤしながらの運転になるのですごく疲れる。狭くて見通しがきかないことでは間違いなく一番こわい道だ。この道に比べれば先週の赤久縄に向かう道などはまだ可愛いものだ。そんな道をハラハラしながらも無事にホームに到着、入場券を買って今夜は泊りなのでよろしくとあいさつして駐車場に戻った。

 駐車場にはすでに車が1台止まっていて、どこから入ったのかな、などと思いながらしたくをした。ウェーダーをはいてバックパックを背負いさてチェストパックを装着しようとしたら、チェストパックがない。エー?と探してみたがたかがSUVのラゲッジスペース、探すほどのことはなくないものはなかった。ナンテコッタ!ヤッチマッタ!見事に積み忘れてきたのだ。

 チェストパックにはフライボックスからティペット、フロータント、フライフィッシングに必要な小物すべてが納まっている。これがなければもちろん釣りにならない。いくらロッドとリールがあったってどうにもならないのだ。さてどうする、取りに帰るか、どこかフライの道具を売っていそうな釣り具屋を探してみるか。自宅に取りに行くとなると往復4時間はかかりそうだ。釣り具屋を探すにはホームに戻っておやじさんに聞けばわかるか、まてよ、ホームで多少のフライと小物類などは売ってたんじゃないかと思い出した。いそいでホームに戻る。

 受付にはたしかに多少のフライは置いてあった。アンプカだったかのフライが3パック、♯18、♯20のミッジばかり。多少すぎだよー、釣り上がりに使うにはこれじゃ見えない。忘れてきちゃった、というと落し物のフライボックスがあるけどこれでよければ使ってもいい、とありがたい返事。地獄で天使とはこのことだった。小ぶりのボックスには30本ばかりのフライが入っていた。中をみるとムムッと思ったが背に腹は代えられない、これをお借りすることにしてティペット、フロータント(ドライシェイク)、リーダークリッパーは在庫があったので購入することにした。





 フライボックスの中身をみてムムッと思ったのはトラディショナルタイプのフライが多かったこと、パラシュートも数本混じっているのだがポストが短く刈られていて見にくそうだったからだ。自分で巻いたものではなくてコマーシャルフライのようにも見えた。ひょっとするとフライを始めたばかりの人が落としていったのかもしれない。釣り上がりに使えそうなのは下の写真の2パターンぐらいかと思えた。とにかく数本のフライと必要最低限の道具が手に入った、これでなんとか釣りにはなりそうだった。






 札かけ橋右岸の遊歩道を歩いて釣り場の最下流部に下りた。堰堤の上から釣り場が始まる。まずはアダムスを結んで見た。アダムスなんて長いこと使ったことがない。ドライシェイクをたっぷりまぶしてもドラッグがかかるとすぐに沈んでしまう。いつも浮力重視のオリジナルフライを使っているから多少のドラッグがかかっても沈むことがない。いったん引っ張られて沈んでもまたぽこっと浮いてくるようなフライだ。沈み切っても2、3度フォルスキャストをすれば浮力がもどる。だがこのアダムスではそうはいかなかった。釣り始めてすぐにトラディショナルパターンってこんなもんだったのかと愕然とした。それでも釣りができるだけありがたいのだ、こういうフライを使って釣り上がっていくこともまたフライフィッシングの勉強だと思うことにする。






 対岸の石組の反転流にフライを入れた。流れの中にフライを入れるととんでもなく見にくいアダムスもこの水面ならよく見えた。ぴちゃッと小さな飛沫があがった。


 


 ひれピンヤマメのスタートだった。小ぶりだがほんのりオレンジに色づいた体側と尾びれの外縁が美しかった。よしよし、釣れるんだ。今どきアダムスなんてフライを使ってるひとは少ないと思うけれどフライといえばいの一番に名前があがるようなフライだ。見えない、浮かない、は人間の都合で魚たちには魅力的なフライなんだろう。

 ニジマスを1匹釣って、腹が減ってきたので早いが小休止、河原に座ってコーヒーを入れた。チェストパックを忘れたことに気付いたときは血の気が引く思いだったが、こうして釣りができて美しい流れを前に一服しているとなんとも満ち足りた気持ちになってきた。シーズン中、ひとりで一般渓流への釣行だったらこうはいかなかった。丹沢ホームのみなさんも色々と探してくれたりしてほんとにありがたかった。


 フライのほうは自然素材ばかりで巻かれたアダムスはマテリアルが水分を吸収してくるといくらドライシェイクをまぶしてもだんだんと浮かなくなってきた。フライをオレンジポストのパラシュートに替えた。ポストが短いから見にくいだろうと思ったがアダムスよりはよく見えた。しかしハックルはパラっとしか巻いていないしポストは短いので浮力がない。始めはポストとハックルにだけドライシェイクを擦り付けていたがあまりにもすぐに沈むのでドライシェイクのボトルに放り込んでカシャカシャやることにした。





 左側の浅い流れでもわっというあたり、イワナかと思った。





 体色も黒っぽくて手元にくるまでイワナだと確信していたが錆びた?ヤマメだった。





 石裏の泡だまり、今度こそ出ればイワナだろうと思ったが白泡の下からガバっとフライに襲い掛かったのはいいサイズのニジマスだった。





 長さは35㎝ぐらいだったが丸々と太っていてよく引いた。





 ニジマスをもう1匹釣って岸寄りの浅場、緩い反転流が石裏に向かうところでフライが吸い込まれた。





 いかにもな食い方で1匹目のイワナを釣った。











 札かけ橋下のプールには何匹もの魚が溜まっていたがみんなここでねばるのだろう、すれ方は半端じゃなさそうだった。流心の向こう側のややこしい流れでなんとかヤマメとイワナをキャッチ。





 流心脇の緩流部、ここはイワナがいそうだった。





 予想に反していい具合に色づいた8寸ほどのヤマメが出た。プロポーションも申し分なかった。





 最後は7寸のヤマメで〆。すぐ沈む、見にくいフライでストレスの溜まる釣りだったが、そんなことをいうと罰があたる。それにしてもやっぱりドライフライはよく浮いてよく見えることが大事なんだと実感した。フロータントの性能も大事、ドライシェイクも昔は使っていたが何年も使っていない。今回はフライの構造もあると思うが一度水をかぶるともうだめで何度もフロータント処理しなければならないのにも参った。

 ぶつぶつ言ってるときりがないが、ミニマム装備のフライフィッシングも逆に色々と気づきがあって楽しかった。もうひとつコレは持っててよかった、と思うものがあったのだが、それについては次回の更新で・・・








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