檜枝岐~南会津釣行

wind knot

2019年07月14日 22:25







 「おはようございます。」

 7月9日の朝、約束の7時にKさんのお宅へ着くと、Kさんはすでに玄関の外にいて迎えてくれた。前回はKさんからブログを通じてご連絡をいただいて黒部ダム下へと出かけた。今回は檜枝岐から南会津を釣り歩く旅に私からお誘いした。

 今年はこの数年では珍しいような本格的な梅雨が続いていてずいぶんと気をもんだが、なんとか予定通りに出かけられそうな予報に変わってきていた。私の車にKさんの荷物を積み込んで東北道の羽生ICへと向かった。檜枝岐のキャンプ場で2泊、そのあと南会津へ向かい民宿かペンションに泊まる予定の3泊4日の釣り旅だ。

 檜枝岐のキャンプ場は前日にいちおう予約はしていたが、南会津は天気がどうなるかわからないので予約もしていなかった。直前の天気予報を確認してから泊まれるところを探すつもりだった。 初日は夕方から雨の予報だった。昼ごろに現地に着いたらとにかくテントを張って、すぐに釣りを始めればなんとかなるだろうと思っていた。

 出発した時間が遅かったので朝のラッシュにつかまって1時間ほど余計にかかったが昼過ぎに現地に入ることができた。スクリーンテントと山岳用のテントをセッティングを組み立て、イスやらテーブルやらのセッティングをしていると予報よりも早めに雨が落ちてきた。幸いパラパラという弱い雨なので、とにかく行こうとレインジャケットを羽織って釣り場に向かった。





 この辺りの雨がどの程度ふっていたのかなんともいえないが水はやや高めに思えた。本流の流れは水勢が強くしばらく釣ってみたがこれという魚信も得られずにいると左岸側に分流なのか支流なのか穏やかな流れに出会ったのでそちらを釣ることにした。





 釣り始めて30分ほどで1匹目のイワナがかかった。とりあえずここまで来てイワナの顔が見られてほっとした。








 Kさんもイワナをヒット、弱い雨が続いていたがフードを脱いでにんまり。





 短いランの肩口で2匹目がフライをくわえた。





 2匹とも放流魚だとは思うが大きめの白点が特徴で朱点は見られない。関東のイワナとは異なる魚体のイワナだった。

 初日の釣りは2時間ほどで切り上げて温泉に浸かり、キャンプ場に戻った。檜枝岐の伊南川沿いはキャンプ場銀座といったところでキャンプ場だらけだが、ウォシュレット完備という設備にひかれて「かわばたキャンプ場」を利用させてもらった。温泉は近くの燧(ひうち)の湯に行った。

 ふだん一人でキャンプするときはビールさえあればいいほうなので料理などしない。今回も料理というほどのことをするわけでもなく、ダッチオーブンに肉のかたまりとジャガイモ、たまねぎ、ニンジンをまるごと放り込んだ。それでも柔らかくなった肉と野菜はクレイジーソルトを振りかけただけで十分にうまかった。特にたまねぎの甘さは特筆ものでKさんもその甘さに驚いていた。


 2日目の朝、テントから抜け出してみると空が青い。曇りの予報だったはずだが雲が切れて青空が広がっていた。

 



 この日は伊南川の支流に入った。水はほぼ平水といった感じだった。





 ここでも肩に近い流れが絞り込まれるようなところで出た。





 前日の放流っぽいイワナとは違ってひれピンのきれいなイワナだった。やはり白点が大きい。





 今回の釣行を通して巻きの流れは沈黙することが多かったが、このイワナだけはえん堤下の反転流でフライを吸い込んだ。





 小ぶりだがこれもひれピンイワナだった。





 前日の梅雨空がうそのような青空に水が輝くようだったが、釣果のほうは絶好調とはいかなかった。林道の要所には釣り人の車が止まっていてそれを避けながら数か所のポイントを回ってみた。





 Kさんもイワナをヒット。





 私もがんばってイワナを誘う。





 太い流れの向こう側、流心脇の早い流れと外側の緩流帯との境目ぎりぎりでヒット。





 サイズは18から22㎝といったところだがきれいなイワナが多かった。2日目はイワナを炭火で焼いて食おうと、二人で食べる分だけキープした。


 3日目は薄曇りの朝だった。テントをたたんで撤収するので雨だと最悪なのだが、降らなくてほんとうに助かった。今回はテントも二張だし、ツーバーナーに焚火台とフル装備のキャンプで撤収も大変だったが、二人で作業したので思ったよりも早く片付けることができた。キャンプ場のおばちゃんに別れを告げて南会津に向かった。

 前の日に宿を予約しようと民宿に電話をしたが2軒は休みだと断られ、1軒は電話にも出なかった。こりゃ民宿はやる気なしだなとあきらめてペンションに電話をすると1軒目でOKだった。ほんとうならいつもの「やまゆきかわゆき」さんに泊まるところだが残念ながらやまゆきさんもこの日は休業日だった。





 舘岩川の支流上流部に入渓した。ここまでの間にすでに数台の車が止まっていた。ここも超がつくほどの人気河川、数釣りができるわけでも大物がねらえるわけでもないが、みんなこの川をめざしてやってくるのだ。

 そして案の定というかそうかんたんには釣らせてもらえない。どんよりと重たい雲、というわけでもない、平地にいれば薄曇り程度の曇りだが谷の中に入ると光量不足でフライが見にくい。弱い向かい風も吹いていて余計にフライがどこに落ちたのか探しにくかった。まあ、それも言い訳にすぎないが、とにかく反応が得られない。それでも走る魚はいるのだから魚影が薄いということではないのだ。





 石の脇で流れが絞られるような小さなポイント。石裏に隠れたり流れに出てきたりしているのだろうか、たまたま流れに出てきているときにフライがいいところをトレースしたようだ。





 檜枝岐のイワナとはずいぶんと色あいの違うイワナだ。檜枝岐のイワナは紫がかった体色だったがこちらのイワナは薄い茶系、金色っぽいといってもいいかもしれない。川底の色を映したイワナだ。








 2匹目のイワナもやはり金色というか砂色っぽい体色だった。ネットの外側の砂の色と見分けがつかないといってもいいくらいだ。こういうイワナには関東ではまずお眼にかかれないだろう。

 ところでKさんは足が速い、私より4歳年上とは思えないような健脚であっという間に釣り上がっていってしまう。私が先に行かせてもらってもすぐに追いつかれてしまって、もう来たの?と驚かされる。足が速いということもあるし、ポイントの見極めも早いのだ。あまり細かいところはスルーしてどちらかというと大場所ねらいがメインなのだ。

 私は歩く速度自体、Kさんにはとても追いつけないし、けっこう細かいポイントをネチネチと攻めるほうなので何度かKさんが通り過ぎた後で釣れることもあった。釣り方の特徴も人それぞれで、どちらがいいということでもなく面白いものだと思う。





 えん堤まで釣り上がって車にもどりランチタイムにした。テーブルをセットしたりしているところに下から車が上がってきて「どこまで行きました?」と聞かれた。「朝からやってるからけっこう上まで行ったよ」と答えるといかにも残念そうにUターンしていった。そう、人気の川だからね、しょうがないよね。

 ランチのあと、私はさっぱりだったがKさんは立て続けに良型をヒット。





 こちらは先に釣れたイワナ、ネットに収まったときはてっきり尺だと思ったが、惜しくも泣き尺とはいえプロポーションも抜群のいいイワナだった。この日、釣りの女神は完全にKさんに微笑んでくれたようだった。


 4日間の釣り旅もあっという間に最終日を迎えた。予報では1日雨のはずだったが、時間がたつにつれていい方向に変わってきて朝おきてみるとなんと青空が見えた。当初は最終日は釣りはあきらめて帰路につこうかと言っていたのがまるで嘘のように変わっていた。

 前の日に釣った上流部はやめて渓相の異なる最下流部に入渓することにした。





 堰堤の上から次の堰堤までごく短い区間だが、頭上は開けていてロッドが振りやすい。先日は曇りのうえ、頭上は木々に覆われて薄暗くフライが見にくかったが、ここは明るくてフライもよく見えた。




 
 堰堤のすぐ上のチャラ瀬は放流ポイントなのかもしれないが何度か魚からのコンタクトがあった。細かい底石が入った瀬には魚影はまったく見えないのだが、見えないだけで実はけっこうな魚が付いているようだった。








 たしか3度目のコンタクトをなんとかヒットに持ち込むことができた。そしてこのイワナが今回のラストフィッシュとなった。

 例によってKさんがこの瀬を見切って先行したあと、私はまだ未練がましくポイントをずらしながらフライを打ち込んでいた。茶色い沈み石の前にいるとねらったフライの1メートルこちら(岸側)で尺はあるかというイワナが飛び出した。どうもティペットの結び目に絡みついた蜘蛛の巣に反応したようだった。





 当然、このあとさらにしつこくフライを流してみたがこれも当然だが2度目はなかった。しかし、Kさんを追って堰堤まで行ったあと最後にあの大物をねらってみようということになり、二人でそのあたりにフライを打ち込んでいくとKさんのロッドが大きくしなり慌てるようにして流れの中心に走っていった。
 
 え、なにどうしたの?と驚いたとたんにロッドはテンションを失ってKさんが天を仰いだ。どうやら件の尺イワナをかけたらしいが沈み石に逃げ込まれてあえなくティペットを切られたようだった。これが釣れていたらまさに最後の最後にドラマが待っていた、ということだったが、逃げられてもそれはそれで夢の続きを見ることができるドラマだった。





 こうして4日間の釣り旅も無事に終了、会津まで来たからといってウハウハの釣りが楽しめるわけではないのは承知の上でやってきた。心配していた天気は初日を除いて雨もなく、どちらが晴れ男だったのかはわからないが、気持ちよく釣りをすることができた。特に前半はキャンプをして釣りともどもアウトドアライフを満喫できた。還暦すぎのジジイふたりのキャンプなんてあんまり気持ちのいいものでもないがやってる当人たちはまじめに楽しかったと思っている。

 Kさん、忘れ物も渡さなきゃいけないのでまた近いうちに行きましょう。今回はありがとうございました。



 


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