昨日は近場の川へ。
自宅のある埼玉県南部はけっこうな雨が降っていた。
雨雲レーダーをみるとめざす川には雨雲がかかっていない。予報では1日曇りで最高気温は8℃となっていた。
どんよりとした曇り空の下、冬枯れた渓はいかにも寒々しく見えた。
林道からのぞいてみると数匹のやまめが見えた。
昨年の解禁釣行はこの川だった。そのときはヤマメの姿は見えなかった。
姿が見えたからといって釣れるわけではないが、「いるいる・・・」というだけでうれしくなる。
この見えヤマメたちはよっぽど活性が高いときでないとまず釣れないが、一応流してみる。
やはり釣れない。
釣れないのは最初からわかっているので、足を進める。水が少ない。
この川のヤマメは長めのストレートな瀬、ヤマメが好む流れでフライをくわてくれることが多いのだが、この水深では瀬には入っていそうにない。いたとしてもすぐに走られてしまいそうだ。
いいときは釣れるとはずのポイントはみな沈黙、これまでの経験ではもっとも釣れる確率の高い流れで一度ピチャッと反応があった。
反応のあった長い瀬はその後静まり返ってしまったが、一番うえの落ち込み脇で魚が飛び出た。
今回もってきたのは昨年くみ立てた#2のロッド、すでに朝霞ガーデンで仮入魂をしてしまっていたが、めでたく自然渓流での入魂となった。
2匹目も落ち込み脇から
真っ黒に錆びたヤマメ。
3匹目もふだんなら出ないこんなところ
気温は8℃を越えていて、水温も7度ちょっとある。もっと活性があがっていておかしくないはずだが、どうもおかしい。
この瀬でもふつうなら真ん中あたりでバシャッとくるはずが、やはり一番うえの落ち込み直下、大きな底石流れにブレーキをかけているあたりで出た。
渇水で瀬は浅くなりすぎているようだ。
サイズも伸びないので、この支流を離れて本流の上流部へ移動。こちらはそこそこのサイズアップも期待できる。
しかし、予想に反して、まるで反応がない。こちらもかなりの減水で石は茶色い苔に覆われてすべるすべる。ここではあまり見かけたことのない緑色の藻が多いのとなによりそこら中に落ちている杉の落ち葉にフライが引っかかってストレスがたまる。
杉の葉に絡んだティペットをはずそうとしていて、ふと足元に目をやるとなにやら赤い羽虫がいるのに気づいた。
なんだろうと手に取るとストーンフライだ。
クロカワゲラはその名のとおり上からみると真っ黒に見えるが、裏返すと腹部はけっこう赤茶色をしているがこの虫は赤茶色なんてものじゃない。真っ赤、真紅といっていいような色をしている。
しかもよく見ると赤いのは腹部ではなく、背中なのだ。
カメラをマクロにしてシャッターを押す。
コンデジのモニターの解像度ではせいぜいこんなくらいにしか見えなかった。しかし肉眼で見るよりは大きく見える。
背中の赤いのはなにやらツブツブしていて卵のようにも見えた。
卵を腹に抱いていたり、背中に乗せている昆虫がいるのは知っていたが、カワゲラにそんな生態があるというのは聞いたことがない。このカワゲラは尻尾がないからオナシカワゲラだと思うが、「オナシのフライには赤い卵を模したアクセントをいれて・・・」なんてフライも見たことがない。
帰りの車中でもこの赤いストーンフライのことがずっと気になっていたので、帰るとすぐにPCを立ち上げてモニターに映してみた。
左手で虫をつまんで右手でシャッターを押しているので手振れしてピントが合っていない。
背中の赤いのはツブツブしてやはり卵のようだ。
ピントがあってくる。赤いツブツブは卵というにはなにか違和感が。
なんだこれ?と思わず目を疑った。
卵と思ったそれにはなんと足がはえている。極小の虫だった。
トリミングするとB級ホラー映画の一場面のような画像だ。虫嫌いの人にとっては目をそむけるような画か。
調べてみるとこの赤い虫はタカラダニというダニのようで、近年は住宅地でもよくみかけることができるらしい。
くわしい生態はわかっていないが幼虫期は他の昆虫などに寄生して体液を吸い、成虫になると花粉が主食になるという。人間には悪さをすることはないそうだ。ただふつうは5月ごろから大量に発生するということなので、春というよりまだ冬の渓流に現れるのか、という疑問も残る。
寄生する相手はカワゲラに限らずなんにでも取り付くようで検索すると色々出てくる。こういうのが好きな人は「タカラダニ」で見てみるといいかもしれない。
釣りのほうはタカラダニの出現に惑わされたわけでもないが、その後もまったくいいところがなくかわいいヤマメを2匹かけただけで終了となった。
にほんブログ村